<プレナスなでしこリーグ:大阪高槻0-6INAC神戸>◇第10節◇15日◇万博

 ロンドン五輪期間中、中断していたなでしこリーグが15日、約3カ月ぶりに再開した。首位を走るINAC神戸は大阪高槻に大勝。9勝1分けで勝ち点を28に伸ばした。なでしこジャパンMF沢穂希(34)がチームでは321日ぶりとなる今季初得点。9日のなでしこリーグ杯決勝では日テレに敗れ、チームの不敗記録は43試合で止まったが、その嫌な流れをわずか1週間で断ち切った。

 ようやくつかんだ1発だった。前半34分、FW大野のミドル弾を相手GKがはじくと、走り込んでいたMF沢が右足で冷静にゴール。これまでのボランチよりも少し前めのポジションで起用した星川監督の期待に見事に応えた。チームでは、昨年10月30日の浦和戦以来となる今季初ゴール。前半4分にはスルーパスでFW高瀬の先制点もアシストし、1万591人の観客の前で笑顔を振りまいた。

 「いいところに転がってきた。あとはつめるだけでした。カップ戦で負けて気持ちも沈んだ1週間だったが、皆で話し合ってきた。得点も取れてよかった」

 今季はリーグ戦、カップ戦、全日本女子選手権の3冠を目標に掲げてきたが、9日のなでしこリーグ杯決勝で日テレに2-3で悔しい敗戦。チームのムードは沈んでいた。だが試合前日、そして試合前と、主将FW大野が「皆で変わっていかないといけない。自分たちで変わろう!」と熱く語り、チームを引き締め直した。沢も「グッとくるものがあったし、気持ちを切り替えて臨めた」と、再び闘志を燃やしていた。

 星川監督は、なでしこジャパンでの7月11日のオーストラリア戦以来となる沢の得点に「INAC神戸はなでしこジャパンよりもチャンスが多いので、自分で決めるという状況にならない。でも、ここまで点を取っていなかったことが問題」と辛口。それでも「きょうは言われたことをしっかりやってくれた。W杯で得点王になった選手だし、昔の沢のように積極的に得点にこだわってほしい」と、さらなる活躍を期待した。

 沢は「カップ戦は逃したが、リーグ戦、全日本女子選手権はしっかりタイトルにこだわりたい」と、前を向いた。沢のゴール時に降っていた雨は後半やみ、万博には虹がかかった。残りシーズンで2冠を目指すINAC神戸への道しるべだった。【福岡吉央】