<国際女子クラブ選手権:INAC神戸1-2リヨン>◇決勝◇25日◇NACK

 INAC神戸が決勝でリヨン(フランス)に敗れ、初代世界クラブ女王の座を逃した。前半39分、INAC神戸MFチ・ソヨン(21)が先制ゴールを奪ったが、後半35分に同点弾を許し、延長後半3分にPKを決められ、そのまま逃げ切られた。欧州女王の底力を見せつけられたが、MF澤穂希は「来年は女王になりたい」と雪辱を誓った。

 クラブ世界一の座をつかむことはできなかった。延長戦終了の笛が鳴ると、MF澤はサバサバとした表情で、歓喜に沸くリヨンの選手たちに拍手を送った。

 「後半、相手の速いプレッシャーを受け、思うようなサッカーができなかった。フィジカルが強い相手に、ほかの質を上げて、足りないところを日本らしいサッカーで補っていかないといけない」

 前半はボールを支配して広くパスを回すサッカーでリヨンを圧倒した。前半39分には、右サイドを駆け上がったDF近賀からパスを受けたFW川澄がミドル弾を放ち、相手DFのクリアをMFチ・ソヨンが左足で蹴り込んで先制のゴール。INAC神戸の攻撃を象徴する連係も披露した。

 だが後半、前線からプレスをかけてきた相手に対し、ボールを奪われる場面が続出。防戦一方となり、同点を許すと、延長後半にはスピードで勝る相手をDF甲斐が倒してPKを献上。無念の逆転負けとなった。

 ロンドン五輪ではなでしこジャパンが準決勝でフランスに押し込まれながらも2-1で勝利。今回はなでしこジャパン7人を擁するINAC神戸が内容的には健闘しながらも、ロンドン五輪フランス女子代表12人を抱える欧州女王のリヨンにわずかに届かなかった。

 星川監督は「前半はボールを動かせたが、後半守りに入ってしまった。欧州のサイズ、スピードに戸惑い、順当な結果だと思う」。一方で「INAC神戸は世界のベスト5には位置すると思うけど、真の世界のトップを圧倒して勝つ力はなかった。ただ(世界一は)そんなに遠い未来ではない」と、冷静に分析した。

 澤もこの試合でつかんだ収穫と、世界一への再挑戦の思いを口にした。「時間帯によってはできた部分もあったし、やっていて楽しかった。この悔しさをバネに、来年もし(大会に)出られたら女王を目指したい」。国内では無敵のINAC神戸にライバルが出来た。澤がクラブでも世界一をつかみとる。【福岡吉央】