<皇后杯:浦和3-0JFAアカデミー福島>◇16日◇準々決勝◇三木陸

 快進撃を続けてきたアカデミー福島(東北・福島)は浦和(なでしこ)に敗れ、8強で姿を消した。U-17(17歳以下)日本代表MF成宮唯(17)にとっては、6年間過ごしたチームでの最後の公式戦。来季入団が内定している仙台レディースでの、さらなる飛躍を誓った。

 涙が止まらなかった。シュートわずか2本で完封負け。3回戦でなでしこリーグ新潟に逆転勝ちした勢いは通用せず、前半15分までに2失点。焦りから放り込んだロングボールは簡単に奪われ、再三ピンチを招いた。樋渡群監督(34)は「ここまで(ボールを)回されるとは」と唇をかんだ。

 それでも上のレベルでも戦えることを証明した大会だった。個々の高い技術に、浦和の村松監督も驚いたという。来季なでしこで戦う成宮について、樋渡監督は「判断力や技術は1つ2つ上でも通用する」。アカデミー福島についても「能力が高い子が多く、来季はもっといいチームが作れる」と大きな手応えを感じている。

 原発事故の影響で静岡・御殿場に拠点を移して活動してきたが、福島への思いは強かった。10月にいわき市で行われたチャレンジリーグ常盤木学園高戦(4○1)の前には、多くの励ましのメッセージが届いたという。成宮は「できるだけ福島の近くで、プレーする姿を見せたい」と選んだ進路は仙台だった。「(1歳下のDF)三宅と、試合やろうねと約束しました」。なでしこジャパン入りという同じ夢を追う仲間たちとの再会を誓い、それぞれ新たな1歩を踏み出す。【鹿野雄太】