<女子高校サッカー:常盤木学園0-0(PK4-3)藤枝順心>◇準々決勝◇14日◇第3日◇静岡・ゆめりあサッカー場

 常盤木学園(東北1・宮城)がPK戦の末、藤枝順心(東海1・静岡)を破ってベスト4に勝ち進んだ。前後半80分で0-0。GK林崎萌維(めい、3年)がPK戦で相手のシュートを2本ストップして勝利を呼び込んだ。大雨の影響もあって攻撃陣が機能せず、終始押し込まれる展開が続いたが林崎が好セーブでしのぎ切った。明日16日の準決勝で日ノ本学園(関西2・兵庫)と対戦する。

 5人目のMF堀井美月(3年)が落ち着いてネットを揺らした瞬間、常盤木学園イレブンは真っ先にGK林崎の元に駆け寄った。PKを失敗していたMF松浦渚(3年)は「めい(林崎)にありがとう、のひと言」。FW道上彩花(同)も「今日のMVPはめいですから」とヒロインの名を挙げた。

 土砂降りの雨、震えるほどの寒さの中、両チームともゴールを割れなかった。しかし林崎は「絶対止められると根拠のない自信がありました」と振り返った。松浦が外して1-2で迎えた3本目。相手FW上嶋が右下を狙ったシュートを読み切ってキャッチ。思わず仲間に向けてガッツポーズをつくった。5本目も小泉の右へのシュートを止めた。「足の向きとか体の開き具合で(コースが)分かるんです」。今季はPK戦2戦2勝と経験は少ないが「あいつは(PKに)強いんです。何か持ってるんじゃないですか」と阿部由晴監督(50)もその技術と読みに太鼓判を押す。

 相手のスピードを生かした攻めに苦しみ、前後半で11本のシュートを浴びたがゴールは許さなかった。ピッチ状態が悪いからこそ「シュートコースに入り、体全体で止めるよう心がけました」と林崎。体の正面でボールを止める正確なセーブでピンチを救った。

 GKは中3から。ほとんどのポジションを経験したという器用さを持つ林崎の夢はなでしこジャパンの正GKだ。卒業後はなでしこリーグ岡山湯郷に入団する。ロンドン五輪銀メダルに貢献した守護神・福元美穂(29)と同僚になるだけに「一緒に練習してレベルアップしたい」とさらなる高みを目指す。

 準決勝の相手は高校総体決勝で敗れた日ノ本学園。林崎は「内容も結果も最高のものにしたい」と意気込む。劇的勝利の勢いに乗って再びゴールを死守し、リベンジを果たす。【高場泉穂】

 ◆林崎萌維(はやしざき・めい)1994年(平6)8月17日、兵庫県養父市生まれ。小1でサッカーを始め、大屋中時は三木市のFCVICTORIESに所属。家族は両親、兄、姉、弟。168センチ、63キロ。左利き。