<プレナスなでしこリーグカップ:INAC神戸2-0仙台>◇予選リーグ◇25日◇ノエスタ

 仙台レディースMF田原のぞみ(25)が、3度の大ケガを乗り越えて帰ってきた。アウェーINAC神戸戦の後半43分から出場。試合は敗れたが、初めて仙台のユニホームに身を包み、約2年ぶりに立ったピッチを駆け抜けた。

 誰もが復帰を喜んでいた。後半35分すぎ、田原がベンチに呼ばれると、チームメートが笑顔で送り出す。サポーターも「のんちゃん、おかえり!」と書いた横断幕を掲げて祝福した。チーム発足直後の昨年2月に右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂。手術と長いリハビリを経て、地元兵庫の両親や友人も見守る前で出場した約4分間に「やっとスタートラインに立てた」。安堵(あんど)の表情とともに、笑みがこぼれた。

 再びピッチに戻ることだけを考えていた。膝の負傷は3度目。前年に浦和でも同じ箇所を痛めて復帰した直後だっただけに「心が折れそうになることもあった」と話す。それでも立ち上がったのは「1人じゃなかったから」。入院中には選手、スタッフ全員にお守りを縫ってプレゼント。思いを託した仲間が、なでしこの舞台での復帰戦を用意してくれた。

 チームは今季、小山と嘉数が右膝の靱帯を負傷して離脱。ともに今季の復帰は絶望的だが「つらい時間が多いけど、3回やっても復帰できたから大丈夫」とエールを送った。4月27日のリーグ戦は1-5で完敗した女王との差を詰めてみせたのと同時に、背番号7が完全復活への一歩を踏み出した。【鹿野雄太】