<プレナスなでしこリーグ:INAC神戸1-2岡山湯郷>◇第12節◇29日◇福島・あいづ陸上競技場

 会津の地で生まれ「幕末のジャンヌ・ダルク」と呼ばれた新島八重のごとく、岡山湯郷の日本代表MF宮間あや(28)が勇敢に立ち向かった。前半32分、敵陣中央でボールを持つと、2タッチから豪快に左足を振り抜く。約25メートルのミドル弾はポスト右をたたき、そのままネットに吸い込まれた。後半17分に得たPKでは、フェイントでGK海堀を翻弄(ほんろう)、ゴール左隅に決めた。まさに、独り舞台だった。

 被災者が見守る一戦で、宮間も特別な思いがあった。「Jヴィレッジもあるし、すごくお世話になった県。福島にあった(東京電力)マリーゼはもうないけど、これからも一緒にサッカーを支えていければいい」。震災では実家のある千葉・大網白里市も津波の浸水被害に遭い、家族が経営する飲食店は休業を余儀なくされた。福島の地を故郷にも重ね合わせ、勇気を振りまく大活躍を見せた。