<プレナスなでしこリーグ:仙台レディース1-0千葉>◇第12節◇29日◇角田市陸上競技場

 “両利き”ならではの一撃で劣勢をひっくり返した。仙台レディースが、ホームで千葉に競り勝った。前半から再三ゴールを脅かされたが、後半32分にMF上辻佑実(25)が右CKを左足で直接たたき込む決勝弾。初開催の角田市に集まった3109人の観衆へ、ハイレベルな技術を見せつけた。4位は変わらないものの、首位INAC神戸が3年ぶりに敗れるなど、上位との勝ち点差を縮めた。

 角田市の大友市長が「市の新しい歴史を開く日」と話した試合で、上辻が魅せた。後半32分の右CK。左足でゴールに向かってカーブをかけたボールは、187センチの長身GK山根の手をかすめ、そのままネットを揺らした。「たまたま、ラッキーです。思い切り蹴ったら、いい形になった」。インタビューが大の苦手というヒロインは控えめでも、千葉監督からは「スーパーゴール。虎の子の1点だった」と絶賛された。

 8日の吉備国際大戦では右足で直接FKを決めている。もともとは右利き。ただ、セットプレーでは左CKなら右足、右CKなら左足といった具合に両足を器用に使い分ける。昨年、U20女子W杯のスイス戦でMF田中陽(INAC神戸)が左右両足でFKを決めて話題になったが、上辻のキック精度も引けを取らない。原点は大阪高槻の下部組織に所属していた中学時代。当時は左サイドでの起用が多く、チームメートだった現なでしこジャパンMF阪口(日テレ)と「2人でずっとボールを蹴って練習してました」と振り返る。

 後半6分にPKを献上するなど、苦しい時間帯が続いた中、守備陣の集中力も光った。この日、ケガで欠場したDF下小鶴に代わって主将も務めた上辻は「残り試合も勝ち点をしっかり取って、上位との差を詰めていきたい」と宣言した。【亀山泰宏】