<プレナスなでしこリーグ:仙台1-2INAC神戸>◇第14節◇13日◇ノエスタ

 INAC神戸が仙台を下し、勝ち点を39に伸ばし、4試合を残して、クラブ史上初のリーグ3連覇を達成した。なでしこジャパンメンバー9人を擁する常勝軍団が、石原孝尚監督(36)体制1年目でも結果を残した。なでしこリーグ杯に続く今季2冠目。今後は国際女子クラブ選手権、皇后杯を含めたシーズン4冠の完全制覇を目指す。

 チーム一丸での優勝だった。後半29分、仙台に1-1の同点に追いつかれたが、最年長MF澤がすぐに選手たちを鼓舞し、同33分にMFチ・ソヨンが決勝のヘッド。主将FW川澄は「今日1日は優勝の喜びに浸り、皆で浮かれたい」とホオを緩めた。

 勝って当たり前のプレッシャーをはねのけた。攻撃の中心のMF大野がチームを離れ、DF近賀も故障で前半戦を離脱。7月にはDF田中明も海外に移籍した。だが、日本代表に定着したMF中島ら若手の台頭がチーム力を押し上げた。

 日本代表歴があっても調子を落とせば即ベンチやベンチ外。先発メンバーは試合ごとに変わった。激しい環境が選手の能力を高めた。今季、5得点以上の選手は4人。昨年11月にクラブハウスが完成し、練習場所が固定され、居残り練習が自由にできるなど、環境が変わった。

 一方で、チームの結束力が実を結んだ優勝でもあった。開幕前には石原監督の発案でチーム全員でレクリエーション施設を訪問。5メートルの壁を全員で登ったり、目隠しした状態で背の高い順に並ぶなど、協力し合うことの大切さを学んだ。

 川澄は「前回は経験豊富な選手が多く、コイントスをするだけの主将だったが、今年は若手にも目を向け、話をする機会も増やした」と明かし「去年は自分たちでも隙がないと言えるような完成されたチームだったが、今年は全員でつかみ取っての優勝」と胸を張った。9月29日岡山湯郷戦で約3年ぶりに敗れ、リーグ戦連続無敗記録は48でストップしたが「次の伊賀戦で(2点差をひっくり返し)4-2で勝てたのはあの敗戦があったから」とチームとしての成長を口にした。

 リーグ戦残り4試合を全勝で終え、国際女子クラブ選手権、皇后杯も制覇して今季4冠をつかむのが目標。世界一強い女子クラブを目指すINAC神戸が、究極の夢にまた1歩近づいた。【福岡吉央】