酒にのまれてしまった。13日に都内の路上でタクシー運転手に暴行を加えた疑いで現行犯逮捕された元サッカー日本代表MFの前園真聖氏(39)が、14日午後に処分保留で釈放された。同日夕方、都内で謝罪会見。2軒をはしごして約7時間、記憶がなくなるほど痛飲した経過を語った。前園氏は「社会人として、スポーツに関わる仕事をする者として、あるまじき行為」と自ら断じ、今後のテレビ番組などへの出演を当面、自粛する意向を示した。

 前園氏はたくわえていたひげをきれいにそり、黒のスーツ姿で会見場に現れた。100人近くの報道陣を前に、直立不動のまま眉間にしわを寄せ、終始硬い表情だった。「軽率な行動により、被害者の方をはじめ、たくさんの方にご迷惑をおかけして申し訳ございません」。涙を目に浮かべながら約5秒、頭を下げた。

 12日夜にテレビ東京系のスポーツニュースに生出演。同局がある神谷町からいったん世田谷区の自宅に戻って着替えた後、13日午前1時ごろから六本木で友人ら8人で食事をした。友人の誕生会で、シャンパン1杯と焼酎4、5杯を飲んだ。その後、その仲間3人で新宿へ移動。「1軒目と同じくらい飲んだけど、はっきり量は覚えていない」という。同日午前8時半ごろまで痛飲したとみられる。

 歌舞伎町から帰宅するタクシーに乗ったところまでは覚えているが、乗車後は「記憶がない。運転手さんに非はない」と説明した。自宅周辺で「気持ちが悪い」と下車し、料金未払いのまま立ち去ろうとした前園氏に、運転手が支払いを求めて駆け寄ったところ、暴力を振るったとみられる。

 所属事務所によると、14日午前9時に被害者との示談が成立。会見では運転手が所属するタクシー会社から、前園氏を気遣うコメントが添えられた書面も配布された。前園氏は「1日も早くおわびしたい」と伝えたが、運転手が勤務明けで休みだったため、まず電話で謝罪。今後、直接謝罪したい意向だ。

 この日、香川県内でサッカーイベント「子供たちと手をつなごう」に参加する予定だった。仕事での移動を翌日に控えていながら朝まで痛飲。社会人としての生活管理の甘さを指摘されても仕方がない。

 「飲み過ぎたことでコントロールを失った。自分の心の隙、甘さがこの結果を招いた」と前園氏は説明したが、暴行に至った経緯については語らなかった。さらに、昨年10月に酔ってタクシーに乗車し、運転手と口論になり翌日に謝罪したことも告白。普段は自宅で一切飲酒していないと説明し、酒は苦手だったことも明かした。

 前園氏は、幼稚園児から小学生までを対象に「ZONOサッカースクール」を開催している。「子供たちから逃げないで、真摯(しんし)に対応したい。自分が間違った行為をしたことをしっかり謝りたい」と継続を希望。今後のテレビ出演について、「(後輩選手を評論することに)説得力がない。メディアに出るべきじゃない」と自粛する意向を示した。酒にのまれ理性を失ってしまったことの代償は大きい。【村上幸将、斎藤暢也】