<全国高校サッカー群馬県大会:桐生第一1-0前橋育英>◇17日◇決勝◇正田スタ

 桐生第一にとって最初で最後のチャンスだった。後半残り5分、右CK。ファーサイドで頭ひとつ抜けたDF乾が額でとらえた球が、決勝ゴールとなった。圧倒的な前橋育英ペースの中で「耐えて耐えて、自信のあるセットプレーで決める」作戦が最高の時間帯にはまった。4年連続同一カードとなった決勝で宿敵に引導を渡した。

 「乾3兄弟」の夢が実現した。兄2人も桐生第一出身のDF。長兄の大知(23)はJリーガーで地元群馬に所属。次兄の智貴さん(20)は仙台大3年で総理大臣杯に出場した。その2人が高校時代にたどりつけなかった「冬の選手権」。兄2人の涙をスタンドで見て「自分が連れて行く」と誓った三男が決勝弾で導いた。

 年の離れた長兄とは会話も少ないが、J公式戦でボールボーイを務めた時など、その動きを目で盗んできた。父正之さん(49)は「兄を追ってきた甘ったれの三男が夢をかなえてくれた」と感激。乾も「全国に行くなら桐生第一と決めていた」と照れくさそうに笑った。【木下淳】