東北社会人サッカーリーグ、グルージャ盛岡のJ3昇格が2日、正式決定した。同日、都内で開かれたJリーグ理事会で来年3月に発足する新リーグへの参入が最終承認された。朗報を受けた臼井康雄社長(66)鳴尾直軌監督(39)と選手らは、盛岡市内の商店街で会見を開き、サポーターと“飛び級昇格”の喜びを分かち合った。新たな戦いに備えて今後、チーム体制をさらに整えていく。これで東北のJリーグチームは5つになった。

 Jリーグ理事会が終わり、参入承認の電話が鳴ったのは午後3時半ちょうどだった。大東チェアマンからの朗報を受けた臼井社長が「満場一致で決まりましたか!」と電話口で応えると、盛岡市肴町アーケードに集まった関係者、サポーター約100人の歓声が上がり、クラッカーが響き渡った。

 選手たちは用意した炭酸水をかけ合い、肩を組んで喜びをはじけさせた。今年7年目のMF松田賢太主将(29)は「今までを思い出し泣きそうになりました」と感極まった。11月19日にJ3ライセンスを受け、地域リーグ3チーム中最優先でJ3の審査を受ける権利を得た。その後の地域リーグ決勝大会でも優勝し、J3入りはほぼ確実な状況でこの日を待ったが、それでも松田は「うれしいです。ほっとしました」と笑顔だった。

 だが、喜びに浸っている暇はない。J3の参入組の大半は格上のJFLからで、地域リーグから唯一“飛び級”のグルージャは、補強や運営強化など、来年3月の開幕へ早急に体制を整えていく必要がある。現在所属の31人はすべてアマ契約だが、J3では最低3人がプロ契約しなければならない。高橋理専務(67)は「今週から契約更改し、ほとんどがプロ契約になると思う」と明かした。

 鳴尾監督も「喜びと同時に、大きな責任を感じています。より厳しい戦いになる」と気を引き締めた。Jの冠に恥じないチームになるため、歩みを止めるわけにはいかない。【高場泉穂】

 ◆グルージャ盛岡

 NPO法人「Jリーグチームを盛岡に作る会」が03年、東北社会人2部北リーグのヴィラノーバ盛岡を母体に設立。04年に東北社会人リーグ1部に昇格した。過去6度のリーグ優勝を誇る。チーム名「グルージャ」はスペイン語で鶴の意味。盛岡藩主南部家の家紋「向かい鶴」と盛岡名物「じゃじゃ麺」、岩手の方言「じゃ」の響きにちなんでいる。ホームスタジアムは盛岡南公園球技場。所属選手31人。

 ◆J3

 来春発足するJ1、J2の下部組織。初年度はJFLからの9チーム、地域リーグからグルージャ盛岡、J1、J2の若手で作るU-22選抜チーム、J2、JFLの入れ替え戦で敗れたチームの計12チームでリーグ戦が行われる。J3入りすれば降格はない。さらに門戸を広げてチーム数を拡大するかは今後、検討される。