<Jユース杯:神戸2-2(PK6-5)広島>◇決勝トーナメント決勝◇23日◇長居◇日刊スポーツ新聞社主催

 神戸が14年ぶり2度目の日本一に輝いた。最多の4度目のタイトルを狙う広島との決戦で延長戦の末、PK戦で制した。15日の高円宮杯U-18チャンピオンシップ決勝ではPK戦で流通経大柏高に敗れて日本一を逃していた。リベンジを誓った舞台でPK戦で決着をつけた。シーズン後半から勝負強さを増した神戸が悲願の頂点に立った。

 神戸が14年ぶり2度目の優勝をつかんだ。激闘の末、PK戦を制した。野田知監督(44)は「最後まで諦めずにやった選手たちに感謝したい」とたたえた。

 前半19分にMF表原が得点を決め、2点リードしたが、同30分に失点し1点差で前半を折り返した。ハーフタイムには「『逆転の広島』だからヤバイぞ」という声も飛び交った。後半33分に同点に追いつかれて延長戦へ。それでも決着はつかず、PK戦の末に日本一をもぎとった。

 PK戦で負けるわけにはいかなかった。15日の高円宮杯チャンピオンシップ決勝では流通経大柏高にPK戦で敗れ、優勝を逃した。あと1歩のところで日本一に届かなかった精神的ダメージは大きかった。チームに漂う疲労感…。決勝戦後、チーム練習は2日間休んだ。ただ練習再開後も選手は落ち込んでいる様子があった。

 今大会で転機となったのが準決勝(21日)だった。昨年王者の札幌に競り勝ち、勢いは戻った。野田監督は選手に言った。「忘れ物を取りに行こう」。

 流通経大柏高との決勝のPK戦。1番目に登場しシュートを外したDF加古は、この日は5番目のキッカーとして冷静に決めた。加古は「みんなに『自信を持って蹴れ』と言われた。気持ちが出た1発だった」とリベンジを果たし、胸を張った。

 夏以降、勝負強さが増したことが頂点につながった。8月10日の第1回和倉ユースサッカー大会予選で流通経大柏高に1-3で敗北。相手の勝ちにこだわる姿勢に圧倒された。シーズン後半戦では勝負にこだわる姿勢を意識した。そこからチームに変化が表れた。野田監督は「勝負強くなった」と成長を感じた。

 プレミアリーグウエスト初優勝とJユース杯の優勝。来季J1に昇格する神戸の金の卵たちが大きな自信を得た。【辻敦子】

 ◆ヴィッセル神戸U-18

 来季J1昇格の神戸の下部組織。今季の高円宮杯U-18プレミアリーグウエスト(西地区)で初優勝し、チャンピオンシップで東地区代表の流通経大柏高に敗れた。Jユース杯では99年に初優勝。