INAC神戸が“東京五輪独占計画”をスタートさせる。29日、神戸市内で新体制を発表し、前田浩二新監督(44)と新入団5選手が会見に臨んだ。今季は米女子プロリーグ(NWSL)シアトルへのレンタル移籍が秒読みとなったFW川澄奈穂美(28)ら多くの主力が退団するため、特別メニューで若手を鍛え上げて、6年後には日本代表の先発全員をINAC勢で独占するという「東京五輪プロジェクト」に乗り出す。

 昨季はなでしこリーグ3連覇など4冠を達成したINAC神戸が、壮大なプロジェクトをスタートさせる。この日の新体制会見で5人の高校生を加えた常勝軍団は、20年東京五輪で日本代表の先発11人全員をINAC勢で占める計画を温めていた。

 強化指定選手として昨季もINACでプレーし、9月に代表デビューを飾った新人DF三宅は「東京五輪は明確な目標であり大きな夢。実現できるよう、計画的にやっていきたい」と話した。

 文会長は「代表監督がうちの選手を選ばざるを得ないよう(新人を)6年間で育てていきたい。(同じチームで)同じサッカーをしている選手11人が出た方が有利」と説明する。INACではMF澤を筆頭に1度に7人の選手を代表に輩出したが、今季は代表でも主力のFW川澄やDF近賀らが海外移籍の秒読み段階に入っており、大きな世代交代の1年になる。

 そこでクラブが掲げた具体策が「東京五輪プロジェクト」だ。昨季までは全選手が同じメニューをこなしていたが、今季からはトレーナーが新人向けにフィジカルやスピード強化の特別メニューを作る。陸上専門のコーチを招いて合理的な走りを身につけさせる。新人が1、2年目から出場できる環境を整え、代表選手へと育てていく。延長線上に6年後の代表の先発全11人をINAC勢で独占するという究極の目標がある。

 「タイトルを1つずつ獲得していきたい」という前田新監督のもと今日30日に始動。2月中旬には沖縄でキャンプを行い、3月下旬の開幕に備える。公式戦からリーグ杯が消滅、今季は3冠が目標。「Rising~さらなる挑戦へ~」をスローガンに掲げた平均年齢22歳の新生INACが、大きな節目を迎えた。【福岡吉央】