夢が、1つかなった。なでしこリーグ仙台レディースの新加入選手会見が30日、仙台市内で行われた。大阪高槻から完全移籍で加入したDF浜田遥(21)は、JFAアカデミー福島から11年に仙台の前身にあたる東京電力マリーゼに入団も、直後の東日本大震災の影響で大阪高槻に移籍。念願の“復帰”を果たした。憧れの存在で新任の下小鶴綾コーチ(31)の後継者として成長を遂げ、なでしこジャパン入りを狙う。

 浜田は晴れやかな表情で会見に臨んだ。「ずっと戻ってきたい気持ちがあった。もう1度ここでサッカーができるチャンスをいただいてうれしい」。11年、特別指定を経て入団したばかりだった東京電力マリーゼが震災で休部。同年4月に大阪高槻へ移籍すると、12年のU-20女子W杯では左サイドバックとして銅メダル獲得に貢献。選手として着実に階段を上っても“古巣”への思いを忘れたことはなかった。

 昨季限りで現役を引退した下小鶴コーチの存在も大きい。「同じチームにいられるだけでメチャクチャうれしいです。ずっと憧れていたので」。出会いは大阪・桜台小3年時までさかのぼる。地元のお祭りで当時高槻に所属していた下小鶴コーチがクラブの募金活動に参加していたという。「『私もサッカーをやってます』と言ったら『Lリーグを目指して頑張って』と。男子チームでやっていたし、女子サッカーがあること自体、知らなかった。その時、初めて教えてもらったんです」と思い出を語る。

 大阪高槻ではFW登録。スピードを生かした攻撃センスも抜群だが、クラブの期待は不動のレギュラーだった下小鶴コーチの後継となるセンターバック。本人は「FWをやりたい気持ちもあります」と笑いつつ「優勝できるように頑張りたい。自分を育ててくれた東北にプレーで恩返しをしたいし、下小鶴さんの教えを吸収して、なでしこジャパンを目指します」と新たな夢を広げた。【亀山泰宏】

 ◆浜田遥(はまだ・はるか)1993年(平5)1月26日、大阪・高槻市生まれ。桜台小2年時、高槻桜台FCでサッカーを始める。高槻第十中2年時にJFAアカデミー福島入校のため楢葉中に転校。特別指定を経て11年に東京電力マリーゼに加入するが、休部に伴って同年4月に大阪高槻に移籍。09年にU-16日本女子代表に選出されて以降、各世代の代表を経験。家族は両親、姉、妹。173センチ、55キロ。血液型A。