<なでしこリーグ:INAC神戸2-3浦和>◇第1節◇30日◇ノエスタ

 リーグ4連覇を狙うINAC神戸がホームで浦和に敗れ、まさかの開幕黒星発進となった。10年以来、4年ぶりの開幕戦黒星。FW川澄、DF近賀ら主力5人が抜け、前田浩二監督(45)を迎えて新生INAC神戸として臨んだ初の公式戦で3失点。昨年までは代表クラスの選手が勢ぞろいしていた常勝軍団は世代交代を目指すが、苦い1年のスタートとなった。

 昨年までは見ることのなかった光景だった。INAC神戸が本拠地で開幕戦黒星。終盤、なんとか同点に追いついたが、後半ロスタイムに決勝点を献上。優勝したかのような歓喜に沸く浦和を横目に、選手たちはすぐにベンチ前で円陣を組み、反省会を開いた。

 前半29分にMF南山が左膝を痛めて退いたことで、選手間の距離が広がり、バランスを崩した。3人の外国人選手と川澄、近賀が抜けたチームのこの日のベンチ入りメンバー16人の平均年齢は22・6歳。DF三宅、野口、FW増矢、伊藤の5人中4人の新人が開幕戦デビューを飾った。その一方、経験のある選手が減ったことで、前線からプレスをかけ続ける浦和に対し、最後まで試合の流れを変えることはできなかった。

 ベテランMF澤は「この負けがどれだけ大変なことかを(若手が)分かっているかどうか。今日は悔しいが、この負けを無駄にせず、中堅と一緒に若い子の背中を押せればなと思う」と前を向いた。前田監督は「(若手は)かなり緊張していた。プレッシャーを感じていたと思う」。シーズンはまだ始まったばかり。この日の悔しさを糧に、再び常勝軍団へとチームを作り上げる。【福岡吉央】