<なでしこリーグ:仙台1-0千葉>◇第1節◇30日◇ユアスタ

 新戦力の一撃で好発進だ。仙台レディースはホームで千葉を破り、昨季に続く開幕戦2連勝を飾った。前半38分にFKからMF川村優理(24)が頭で合わせて先制。移籍後初ゴールが決勝点となった。元なでしこジャパンのボランチは守っても古巣を完封し、圧倒的な存在感を見せた。

 元同僚のマークをかわした川村が、誰よりも高く跳んだ。会心のヘディングシュートは187センチのGK山根の頭上を越え、ネットを揺らした。仙台での初ゴールに喜びを爆発させた背番号6は「当ててコースを変えるだけでした。練習で外していたので、決められてよかった」と新潟でもチームメートだったMF上辻の正確なキックに感謝した。

 本職の守備でもチームを救った。後半は押し込まれる時間帯が続いたが、中盤で相手の攻撃を寸断する対人の強さを発揮。空中戦でも「体を張るのが自分の特徴。はね返せるかどうかで(試合が)変わる」と167センチの高さを生かして、ほぼ全勝してみせた。

 待ち望んだ新戦力だった。昨年4月のアウェー千葉戦。終始ペースを握られて1-1の引き分けに終わり、千葉監督は「川村にやられましたよ…。ああいう選手が中盤にいたら違う」と脱帽した。高さと抜群の守備力に加え、一瞬でチャンスを作る正確なロングキック。仙台に足りなかった要素をすべて持つ選手だった。昨季リーグ終盤で出場機会が減った川村に、真っ先にラブコールを送って加入が実現。迷わず開幕スタメンで起用した指揮官は「よくやってくれた。いい補強ができた」とうなずいた。

 中盤のバランサーは、仕事との両立もばっちりだ。4月から「やまや長命ケ丘店」に勤務するが、千葉では「温泉施設のレストランでウエートレスをやって、練習は夜7時すぎからだったので恵まれてます」と話している。明るい性格ですっかりチームに溶け込んだ川村を中心に、次節で女王INAC神戸を倒して開幕ダッシュを決める。【鹿野雄太】

 ◆川村優理(かわむら・ゆうり)1989年(平元)5月17日、新潟市生まれ。上山中1年時に当時北信越リーグの新潟に入団。3年時から10番を背負った。05年にU-17代表に選出され、09年に初のなでしこジャパン入り。13年に千葉へ移籍し、今季から仙台に完全移籍で加入。通算164試合18得点。国際Aマッチ4試合出場。趣味は犬の散歩。167センチ、55キロ。