<Jユース杯:G大阪ユース3-2仙台ユース>◇決勝トーナメント2回戦◇9日◇G大阪練習場

 仙台ユースがG大阪ユースに延長戦の末に惜敗し、クラブ最高タイの8強入りはならなかった。前半13分、優勝候補を相手にMF飯野稜平(18)のヘッドで先制。後半は10分までに逆転を許したが、直後の12分に来季トップチーム昇格が内定しているMF茂木駿佑(18)が約25メートルのFKを直接決めるなど懸命に食い下がった。

 仙台ユースが、全国トップレベルの力を証明した。延長後半8分に与えたPKで力尽きたが、1カテゴリー上のU-18プレミアリーグWESTで首位を走る圧倒的な個の力に組織で対抗。シュート22本を浴びながら、全員が体を張って食い下がった。延長前半に右足首を痛めて交代したMF佐々木匠(16)は「強豪相手にみんなで頑張ったのに、自分がケガをして…。先輩たちと全国優勝したかった」と涙が止まらなかった。

 沈みかけた仲間に勇気を与えたのは茂木の右足だった。1-2とされた直後の後半12分、ゴール右寄りでFKを得ると「GKが(壁の反対側に)寄ったので、壁の上から落とそうと思った」。磨いてきた3種類のキックの中から、蹴る直前に選択した縦回転のシュートが決まった。1年前は決勝T初戦で「全然通用しなかった」と横浜ユースに1-4で完敗。チームの進化を支えてきた司令塔は「勝たなきゃいけなかったけど、去年とは負けの意味が違う」と悔しさをにじませながらも手応えを口にした。

 茂木には、まだ大きな役目が残っている。ユースのプレミアリーグEAST昇格だ。「(J1仙台MF)富田さんのようなボール奪取力を身につける練習をして、後輩をプレミアで戦わせてあげたい」。高校最後の大一番となる12月の参入戦で、今度こそ恩返しの勝利に導く。【鹿野雄太】