<皇后杯全日本女子選手権:仙台6-1岡山湯郷>◇21日◇準々決勝◇ユアスタ

 仙台レディースが岡山湯郷を破り、初の4強入りを決めた。前半は本職GK不在の相手が全員でゴールを守る作戦に苦しんだが、後半5分にDF鮫島彩(27)が左から約30メートルのミドルシュートを決めて先制。その後はFW浜田遥(21)が2試合連続のハットトリックを達成するなど6ゴールで快勝した。28日の準決勝は日テレと対戦する。

 初ものずくめの1勝だった。試合開始から岡山湯郷はDF4人がゴール前に並び、全員が自陣で守りを固める奇襲作戦を敢行。後半に頭だけで3ゴールを奪って勝利に導いた浜田は「今までにやったことがない展開。2試合連続のハットトリックも、全部ヘディングで決めたのも初めて」と驚きを隠せなかった。

 一方的すぎる展開に、前半は159センチの急造GKを脅かせなかった。ボール支配率は90%を超え、相手はゴール前に進入されるまで奪いに来ない。千葉監督は前半途中から右サイドバックの坂井をFWに上げ、2バック気味にして猛攻を仕掛けたが不発。再三のクロスと17本のシュートはすべてはね返され、浜田は「ゴール前に立ってるだけで、動きが少なすぎた」と猛省。ハーフタイムに選手間で話し合い、作戦を練った。

 導き出した結論は「とにかくGKに向かっていくボールを蹴る」。すると、ゴールラッシュが幕を開けた。後半開始からインフルエンザから復帰したばかりのMF上辻が投入され、全員がミドルシュートを狙い続けた。浜田の3点も、前半のような横からのボールではなく、ゴール前へのロングパスだった。1得点2アシストの鮫島は「前線の2人(浜田と坂井)が体を張ってくれたからこそ生まれた点」。浜田も「みんながいいボールをくれたので触るだけだった」とチームメートに感謝した。想定外の展開を一丸で乗り切った仙台レディースが、決勝進出をかけた強敵日テレとの大一番に挑む。【鹿野雄太】