<Jユース杯:鹿島ユース1-1(PK4-3)G大阪ユース>◇決勝◇23日◇ヤンマー

 鹿島がG大阪との“3冠王者対決”を制し、10年ぶり3度目の優勝を成し遂げた。Jリーグ屈指の名門クラブ同士の戦いは1-1のまま延長戦に突入、PK戦4-3で決着した。ケガから復帰したDF寺門宥斗(ゆうと、3年)が、2試合連続となるダイビングヘッドで先制点を挙げ、流れを作った。今季就任した熊谷浩二監督(39)のもと、今季初タイトルを手にした。

 鹿島の5人目DF町田がPKを決めると、ピッチ上の選手は喜びを爆発させた。先制のヘディング弾を決めたDF寺門は涙をこぼし「最高です」と今季初タイトルをかみしめた。今夏の日本クラブユース選手権でG大阪に2-4で敗れたリベンジも果たした。

 シュートは4本にとどまったが、前半42分、MF平戸のFKに前線の寺門が飛び込み、流れを作った。寺門は9月の高円宮杯U-18プレミアリーグの試合で、右足第5中足骨を疲労骨折。手術とリハビリを経て、12月7日に試合復帰したばかりだった。

 リハビリでは、上半身と体幹のトレーニングを重視。軸を強化することで故障しない体作りに努めた。その結果、予定より約1カ月早く試合復帰を果たした。また、体脂肪率は骨折前の12%から、10%未満に。「疲れにくくなりました。ヘディングする時にもジャンプしやすく、ぶれなくなった」と思わぬ収穫もあった。パワーアップして帰ってきた男が、準決勝に続き、得意のダイビングヘッドで復活をアピールした。

 今季就任した熊谷監督は優勝インタビューで、目を潤ませた。「子どもたちが1年間良くやってくれた」と言葉を絞り出すのがやっと。現役時代はMFとして00年度の鹿島3冠に貢献。11年からコーチを務めた。監督就任以降は守備を重視し当たり前のプレーを当たり前に出来るチームをテーマに鍛えてきた。トップチームとの練習試合を約10試合以上行うなど、クラブの協力もあり、夏以降は「体力的に伸びた。守備も粘り強くなった」と結果が現れた。

 熊谷監督は、教え子たちの成長に「あまり褒めすぎるとダメなんですけど」と厳しい一面も見せたが「初めて監督をやったが、子どもたちの成長にはビックリする印象がある」と目を見張った。鹿島の黄金時代到来を告げる栄冠となった。【鈴木絢子】