<高校サッカー:東福岡2-0三鷹>◇1回戦◇30日◇駒沢

 東福岡が三鷹(東京B)を下し、16大会ぶり3度目の全国制覇へ好発進した。J1横浜入りが内定しているU-18(18歳以下)日本代表MF中島賢星主将(3年)のヘディングによる開幕ゴールで勝利をたぐり寄せた。今夏の全国高校総体に続く「夏冬2冠」達成を狙う。

 横浜入りする大黒柱、東福岡のMF中島が貫禄の一撃を見せた。0-0で迎えた後半2分だ。普段、外で待つというCKを「決める強い気持ちで思いきりいった」と、強引に中央から打点の高いヘディングシュート。「キャプテンで10番を背負う以上、苦しい時こそ何ができるかを考えやっている」という執念が、堅守で健闘する三鷹の戦意を粉砕する値千金の先制ゴールとなった。

 気迫が違った。前回大会も実力がありながら、自慢の攻撃力を封じられ3回戦で日章学園(宮崎)にPK戦で敗れた。中島はこの日、PK戦が頭をよぎったという。だが「ここで負けられない」と強気だった。股関節痛で思うような働きが出来ず、消化不良に終わった昨年度の借りも返したかった。

 それだけではない。中学でJ2福岡ジュニアユースに所属し将来を嘱望された。だが6歳時に国立競技場で観戦した02年度選手権のFW平山(東京)を擁す国見と、FWカレン・ロバート(タイ・スパンブリーFC)を擁す市船橋の決勝戦の感動が忘れられなかった。親の猛反対を押しきり東福岡に進学。覚悟を決めた分、結果で恩返しするしかなかった。

 02年から指揮を執る森重潤也監督(49)が「賢星のゴールが大きかった。決めるべきやつが決めてくれた」とたたえた。98年度以来の優勝へ、中島は「夏取っているので冬も取る。2冠はみんなが意識している。チームに貢献し、結果として得点王がついてきたら最高」と、日本一へ突っ走る。【菊川光一】