<高校サッカー:前橋育英4-0京都橘>◇準々決勝◇5日◇フクアリ

 前橋育英(群馬)の攻撃陣が大量得点を奪い、6大会ぶりに4強入りを決めた。

 前橋育英FW青柳燎汰(りょうた、3年)が、みそぎ弾でチームを4強に導いた。前半8分、MF渡辺凌からの縦パスに反応してDFライン裏に抜け出し、GKの頭上をふわりと越える右足シュートを決めた。同37分には、右クロスに左足を伸ばしてつま先で触り、追加点を挙げた。今大会はCKからDF宮本鉄の2得点のみと決定力不足が深刻だったが、ようやくFW陣が得点。「ほっとした。やっと期待に応えられた」と明かした。

 試合前は、異様な緊張感に包まれていた。前日の夕食時、「みんなでリラックスした方がいいかな」と考え、周囲とふざけ合って大声を出していた。だが、その笑い声が山田監督の耳にとまり「この雰囲気で試合に臨んでいいんか!」と一喝された。主犯格だった青柳は「見てろ」と試合に臨み、見事に2得点。「怒られて、気合が入りました」と話した。

 野球部のパワーをもらい、悲願の初優勝へ“5度目の正直”を狙う。98、99、01、08年度と4回、4強に進出しているが、すべて準決勝で敗退。山田監督は「(今までは)準決勝で終わるんだな、という思いがあった。まず監督が自信を持って臨まないと」。野球部は13年夏の甲子園で優勝。青柳も応援に行き、優勝の瞬間を味わった。ドラフト1位で西武に入団する高橋光成投手とは同じクラス。大会前には「活躍しろよ」と言われたという。「僕はまだまだ。もっと活躍して、連絡したい。歴史を変えて優勝したい」。初の決勝進出へ気負いはない。【保坂恭子】