<奥大介追悼試合:Jアミーゴス4-2横浜フレンズ>◇18日◇ヤマハ

 14年10月に交通事故で急死した元日本代表MF奥大介さん(享年38)の追悼試合が18日、静岡・ヤマハスタジアムで行われた。奥さんと磐田や日本代表で親交があった選手で構成された「Jアミーゴス」が、横浜や横浜FCで親交のあった選手を中心の「横浜フレンズ」を下した。本紙評論家の中山雅史氏(47)横浜FCのFW三浦知良(47)J2磐田の名波浩監督(42)らが1万人を超える観衆を沸かし、天国の奥さんへピッチ上で思いを伝えた。

 明るい笑顔がトレードマークの奥さんにふさわしい快晴だった。悲しみや涙なんて似合わない。中山が、名波が、カズがピッチを駆けた。現役もOBも関係ない。笑いあり、真剣プレーあり、「全力でサッカーを楽しむ」という故人の姿勢を全員で表現した。

 会場を最初に盛り上げたのはJアミーゴスでプレーした中山だった。アジア杯の解説で訪れていたオーストラリアから17日に帰国。前半5分に得たPKをバーに当てて外し、その直後にはオーバーヘッドも披露。この日夜に再度オーストラリアに渡るため、わずか24分間のプレーだったが、相変わらずの存在感だった。

 中山

 (奥)大介はサッカーを楽しんで、大好きだった。僕らもはつらつと楽しむ姿を見せられればと思った。まだ、大介がこうなったことを信じられない部分があるけど、思いをくんだメンバーが精いっぱい、それを出せればと思った。

 17日の阪神・淡路大震災20年のチャリティーマッチから「連戦」のカズも、横浜フレンズの一員として先発。この日夜に横浜FCのタイ合宿に出発するにもかかわらず、27分間プレーした。「今回は『大介のために何ができるか』ということで行われた。僕らもできるだけ楽しもうと思った」。全ては奥さんのため。過密日程なんて関係なかった。

 発起人の1人となった名波は試合後のセレモニーで、こう言った。「これからも大介は天国から磐田、横浜、横浜FCの3クラブ、日本サッカーを応援してくれると思う」。そして取材エリアで「大介は仲間であり、ライバルだった。今まで苦楽をともにしながらサッカーをやってくれてありがとうと言いたい」と言葉をつむいだ。スタンド正面のVIP室には奥さんの両親の姿もあった。明るく楽しく-。天国の奥さんは笑顔でピッチから発せられたメッセージを受け止めたはずだ。【菅家大輔】

 ◆奥大介(おく・だいすけ)1976年(昭51)2月7日、兵庫県尼崎市出身。神戸弘陵高-磐田-横浜-横浜FC。攻撃的MFを中心にJ1で280試合62得点、日本代表で国際Aマッチ26試合2得点。J1優勝は磐田で2回、横浜で2回の計4回。Jリーグベストイレブン3回。07年に現役引退。173センチ、68キロ。引退後は多摩大目黒高監督、横浜FC強化部長を務めた。