日本復興のために、日本を飛び出す!

 清水がオランダ1部リーグの名門・アヤックスと東日本大震災復興に向けたチャリティーマッチに参加することが3月31日、決まった。アヤックス主催のチャリティーマッチで、オランダ・アムステルダムのアヤックスのホームスタジアム(アムステルダム・エレナ)で13日に開催される。23日にJ再開を控え、長時間移動、8時間の時差など負荷もかかるが、復興を願うビッグクラブの申し出に対して、清水はJリーグを代表し、快く出場を決断した。

 異国の地からの強いメッセージに迷いはなかった。清水の早川会長は「24日に先方から打診があった。再開に向けては難しい時期ではあるけど、25日にGOサインを出した」。当初、アヤックス側の意向としては、最も大きな被害を受けた仙台を招待するプランだった。しかし、仙台側が被災の影響から諦めざるを得ず、その後、浦和にも打診したが、浦和も調整への影響を考慮しオファーを断った。

 その状況の中、清水が“代役”を買って出た。確かにJ再開直前で長時間移動、時差は、決して好条件とはいえない。だが、最大の目的は「調整」ではなく「復興支援」。地震直後に福島第1原発の放射能漏れなどの影響で外国人監督、選手の国内退避が続出する中、アフシン・ゴトビ監督(47)は「私は日本の力を信じている。私は日本に誇りを持っている」と、国内残留を明言した。募金活動を続けながら、まったく動じずに日本で生活を送ってきた。その指揮官らしい決断だ。

 アヤックスとしても、清水にはかつて同リーグのフェイエノールトでプレーした元日本代表MF小野伸二(31)が所属していたことも大きかった。オランダ国内での小野の認知度は高く、集客にも申し分ない。この日は軽めのランニングで調整した小野は「プラス材料は必ずある。ただの試合じゃなくて、感謝の気持ちを持って臨みたい」と、決意を込めた。

 アメリカ、オランダ、韓国、イランなど国際経験豊かな指導歴を持つゴトビ監督もポジティブな要素を強調した。

 ゴトビ監督

 国内だけじゃなくて、国際的に何かができる。きっと日本に希望を与えられるはず。(世界の強豪クラブが相手だが)私は怖がっていないし、恐れていない。ベストを尽くして戦うだけ。そうすることで、将来に向け、いいチームをつくっていけると思う。

 今やれることをやる、怖がらずにベストを尽くす-。明るい将来に向かって、やるべきことは復興もサッカーも共通している。【為田聡史】