仙台が12日、23日のリーグ再開戦(対川崎F=等々力)へ向けた、千葉キャンプを打ち上げた。市原臨海競技場、姉崎サッカー場を貸し出した市原市側が、全9日間の使用料を無料にすると決定。「頑張ろう仙台」「絆

 市原市」と書かれた千羽鶴も贈られた。東日本大震災で被災地となった宮城、千葉の両県。あれから1カ月、手倉森誠監督(43)は「震災当初はサッカーができるとは思わなかった。市原市に感謝です」。助け合いの精神で、1歩ずつ前進している。

 サッカーができる喜びをかみしめた9日間だった。被災地である地元仙台を離れることは苦渋の決断だった。「仙台で練習をしながらボランティアをする」。選手約半数の意見だった。だが「自分たちの仕事はサッカーで被災地に明るいニュースを届けること」と、キャンプを選択。10日、震災後初の練習試合では選手で唯一の宮城出身者、FW大久保剛志(24)が震災後初ゴールで東洋大を1-0で下した。「被災地のことを思い、魂を込めた」。

 後押ししたのが市原市だった。市原臨海競技場も姉崎サッカー場も芝が丁寧に整備されていた。通常なら9日間で約40万円の使用料が掛かるが、佐久間隆義市長(64)を中心に仙台へ全面協力。無料提供を決め、この日チームに伝えた。同市職員とその家族が作った千羽鶴も贈られた。MF梁勇基(29)、MF関口訓充(25)は感慨深げだった。

 激動のキャンプでもあった。FWマルキーニョスが震災の影響で退団。ブラジル1部、アトレチコ・ミネイロへ移籍した。FW柳沢主将も左膝を手術。23日のリーグ再開戦、29日ホーム開幕の浦和戦も出場は絶望視される。期待を背負うFW赤嶺だが「プレッシャーは感じない。出ればゴールで勝利に貢献するだけ」と頼もしかった。

 今日13日は神奈川・平塚市でJ2湘南と練習試合。翌14日からは、さいたま市でキャンプを行う。「市原の意をくんで頑張る。そして被災地のサポーターに元気な姿を見せたい」と手倉森監督。楽天は勝った。ベガルタも勝利のために走り続ける。【三須一紀】