東日本大震災で中断していたJリーグが今日23日、48日ぶりに再開する。

 横浜と対戦する鹿島MF小笠原満男(32)は、強い思いで再開のピッチに立つ。故郷、岩手沿岸部は震災により、壊滅的な被害を受けた。母校大船渡高には亡くなった生徒もいる。震災後は県内5カ所の避難所を回った。「サッカーをしている場合じゃない」。一時はそう思った。変えたのは、サッカーを楽しみにしている被災者たちの声援だった。かつてない状況で迎えるリーグ「再開幕」への思いを熱く語った。

 小笠原

 勝ちたい。ただ、それだけ。一生懸命やるのは当たり前。勝ってサポーターを喜ばせたい。被災地を訪問して、人のために何かしたいという気持ちは以前より強くなった。

 今季、鹿島はここまで90分での勝負では1勝5分けと負けがない。だが、闘将は納得していなかった。

 小笠原

 (19日の水原三星戦は)悔しかったですね。アントラーズにとって、引き分けは負けと同じ。勝たないと意味がない。

 被災地への貢献も、常に考えている。選手、スタッフがクラブハウスに届ける支援物資をチームメートと協力し、連日、衣類や生活用品など、物品ごとに仕分け作業を行う。そのため帰宅は遅くなる。

 小笠原

 届けた先で、何が入っているかわからないと困るでしょ。欲しいものが、日々変わっていく。最近は文房具を必要としている方が多い。スケジュール的に難しいけど、今後、個人的にもチームとしても現地に行って何かやりたい。

 被災者と触れ合い、その明るさと強さに、逆に励まされた。質の高いパフォーマンスを見せることが、恩返しと位置付けている。

 小笠原

 サッカーを楽しみにしている人がたくさんいる。苦しい思いをした人たちに、引き分けの試合を見せて、歯がゆい思いをさせたくない。サッカーで最も楽しい瞬間といえば、それはゴールでしょ。とにかく、たくさんのゴールシーンを見せて、勝つことで喜ばせてあげたい。

 言葉に力がこもった。【塩谷正人】