<J1:C大阪1-1G大阪>◇第21節◇13日◇長居

 C大阪がホーム長居での大阪ダービーで、G大阪に引き分けた。日本代表MF清武弘嗣(21)は先制点に絡み、視察に訪れた日本代表アルベルト・ザッケローニ監督(58)の前であらためて存在感をみせつけた。レビークルピ監督も「日本のサッカー界を背負って立つ能力のある選手」と絶賛した。大阪ダービーに「新顔」が誕生した。G大阪は4連勝を逃したが、勝ち点40で3位に浮上。

 今季最多3万7172人の観衆、そしてザッケローニ監督の前で、清武が日本代表としての実力を見せつけた。フル代表として鮮烈なデビューを果たした日韓戦から中2日で迎えた大阪ダービー。大阪最強の座をかけた戦い。ピッチの清武に注目が集まった。

 後半31分、ゴール右でMFキム・ボギョンからパスを受けると、MF倉田にダイレクトでつなぎ、倉田がはたいたボールをキムが先制点を決めた。清武がC大阪の攻撃を象徴するような得点シーンをしっかりと演出してみせた。

 「きょうは足にボールが付いてなくて、単純にしようと思った。ゴール前で3人で絡めた」

 自己採点の厳しい清武だったが、レビークルピ監督は絶賛した。「エクセレント。非常に素晴らしい活躍をした。きょうの試合を決めるであろうシーンで必ず絡んでいた。2つ3つ先のプレーが読めることを証明した」。さらに「間違いなく日本のサッカー界を背負って立つ能力のある選手だ」と続けた。

 代表選手としての自覚も芽生えつつある。日韓戦を終え、札幌から大阪に戻った清武は、空港でバスの切符を自ら4枚買い、一緒に帰阪したU-22日本代表の後輩3人に手渡した。先輩としてのちょっとした心遣い。どんな時も瞬時に状況を判断し、空気を読める男らしい行動だった。

 リーグ戦での大阪ダービー8年ぶりの勝利はつかめず「ヤットさん(遠藤)のように連戦の中でも自分のプレーが出せないといけない」と反省もあったが、コンディションがベストでない中でも存在感を見せつけた。自身のサッカー人生の中でこれ以上ない注目を集めた試合でも、プレッシャーに負けることなく、技術力の高さを証明してみせた。【福岡吉央】