神戸の元日本代表DF宮本恒靖(34)が19日、神戸市内のホテルで会見し、現役引退を表明した。タイなど他クラブからオファーもあったが、ピッチ外で貢献できる道を優先して引退を決意した。来年9月には国際サッカー連盟(FIFA)が運営する大学院で学位を取得し、その後に欧州で指導者資格の取得を目指す。

 17年間のプロ生活に終止符を打った宮本は「人生の約半分ですが非常に短かった」と振り返り「すべてのことが自分を大きくしてくれた。悔いはない」と晴れやかな表情で語った。

 宮本が留学するのは「FIFAマスター」と呼ばれる大学院で、FIFAがスイスのスポーツ教育機関と提携し英国、イタリア、スイスにある。最短10カ月の授業で日本の修士課程に相当する資格が得られる。日本人では5人目の挑戦でサッカー選手では初めて。

 英語に堪能な宮本の留学には、日本協会も後押しを約束。日本代表の監督はもちろん、将来の日本協会幹部として抜てきされる可能性がある。「(2人の子どもに)お父さんはサッカー選手じゃなくなるんだよ、と話したら少し寂しそうな顔をしましたが、見守って欲しいと伝えました」。02、06年と2度のW杯に主将として活躍した頭脳明晰(めいせき)な宮本が、第2の人生も日本を支えていく。

 ◆宮本恒靖(みやもと・つねやす)1977年(昭52)2月7日、大阪府富田林市生まれ。G大阪ユースから95年トップ昇格。各世代の日本代表で活躍し、W杯は02、06年と2度出場。国際Aマッチ通算71試合3得点。02年W杯は鼻骨骨折のためフェースガードを着用し「バットマン」と呼ばれた。06年末ザルツブルク(オーストリア)に移籍。09年神戸移籍。J1通算337試合8得点。昨年B級ライセンス取得。176センチ、72キロ。