<天皇杯:東京4-2京都>◇決勝◇1日◇国立

 J1昇格を決めている東京が、京都との史上初J2決戦を制し、初優勝した。前半13分に先制されたが、2分後にDF今野泰幸主将(28)のヘッドで追い付き、FWルーカス(32)の2点などで完勝し、ACL出場権を得た。11年シーズンは、大熊清監督(47)の下、周囲の冷たい視線にも耐えながら地力をつけた。2日にはポポビッチ氏(44)の監督就任が発表され、新体制でアジアを戦い抜き、J1にも定着する。

 タオルで涙を隠した。イレブンが優勝カップを掲げる直前、大熊監督がピッチ上で感極まった。「このメンバーで戦うのはこれが最後だし、いろんなことがあったから」。試合中は大声で選手を鼓舞する同監督が、声を絞り出した。

 大熊監督

 いくら勝ってもJ2だからとか、トーナメントだからとか、そういう声が聞こえてきた。でも間違いなく、うちは強くなってる。さらにもうワンステップ強くなるため、ACLに行きたかった。柏がクラブW杯で頑張ったのも、刺激になってる。

 前半13分に先制されたが、慌てなかった。2分後にはショートコーナーから追い付き、同36分にはDF森重が右足ミドルを決めた。ペースをつかみ、G大阪で天皇杯2度優勝の経験を持つFWルーカスが2得点した。運動量でも気迫でも相手を圧倒し、クラブ史上初の優勝を決めた。

 ACL出場も史上初だ。「ACLは、Jリーグと審判が笛を吹く基準も違うし、深いタックルも多い。日程も厳しい」。3度ACLを経験しているルーカスは、その厳しさを熟知している。ACLでリズムを崩し、リーグ戦に影響する可能性もある。それでも大熊監督は「常勝軍団としてクラブ力を上げるには、そういう経験が必要」と話した。

 現在、オーストリアに帰国中のポポビッチ新監督の下、今月末に再び集合し、準備に入る。MF石川は「2度とJ2には落ちたくないし、もっと強くなりたい」。J2から初の日本一に輝いた東京が、未知のアジア相手にさらなる成長を遂げる。【盧載鎭】