<J2:千葉2-0山形>◇4日◇第1節◇フクアリ

 「新生モンテ」は黒星スタートになった。優勝候補の千葉に対して、山形は奥野僚右新監督(43)が追求する「連動性」を随所に発揮しつつも0-2。後半1分にミスからFW藤田祥史(28)に先制弾を献上し、24分に再び藤田に追加点を許した。しかし、攻撃面では縦パスを中心に敵陣深く攻め入るなど収穫あり。次節11日の松本山雅戦(松本)へ向けて調整を重ねる。

 J初采配となった奥野監督の初陣を飾ることはできなかった。それでも山形は、次節以降につながる「可能性」を感じさせた。前半は、奥野監督がキャンプ中にこだわり続けた山崎、中島、万代の3トップが、ひっきりなしにゴール前に飛び出した。記録上のシュート数こそ「0」だったが、縦パスから背後を奪う攻撃で千葉をかく乱した。奥野監督は「勝ち点3を取れなかったのは残念だけど、次につながっていくと思うような内容だった」と悲観していなかった。

 前線からのプレスも効果的だった。後半31分、千葉DF陣がゆっくりボール回しをしている場面を、中島は逃さなかった。スッと背後に近寄り、相手が前を向いてボールを蹴り出した瞬間にパスをカット。ゴール前に走り込んでシュートを放った。キャンプ中に何度も見せていた持ち味を、開幕戦から発揮した。

 奥野監督は就任以降、全員がポジションにとらわれず、流動的な動きのできるチーム作りに着手してきた。サイドバック(SB)が高い位置をとり、攻撃参加するスタイルにも力を入れていた。総合的に見て、キャンプでは「攻め」中心の練習が多かった。この日は、ビルドアップの時点で小林、石川の両SBがFW陣と同列まで攻め上がりチャンスメーク。初っぱなからその成果は確実に出ていた。

 半面、課題も浮かび上がった。後半1分、藤田に先制点を奪われた場面はクリアミスを相手に拾われ、右サイドを突破されたことが原因。2失点目も同じパターンだった。攻撃で多彩な色を出した分、中盤より後方の安定度をやや欠いた。山崎は「3トップはみんなFWが得意な選手。みんなが『前へ前へ』の気持ちになって、守備ができてなかった。バランスがよくなかった」と反省点を挙げた。

 奥野監督も「何か他に対応できる策はあったと思う。そこは個人ではなくチームとして、グループとして取り組んでいきたい」と今後は守備面の修正にも力を注ぐ。そして「手応えは感じている」と言った。次節以降、その言葉を結果で証明する。【湯浅知彦】