清水MF河井陽介(22)が、オレンジ色の公式ユニホームに初めて袖を通してから約2カ月。河井は確かな手応えを感じている。6日、午前と午後の2部練習でフルメニューを消化。午後4時半にグラウンドを後にすると「毎日良い準備をしてできている。良いアピールもできてきたと思う」と、汗をぬぐった。

 慶大2年時から特別強化指定選手として練習に参加。チームへの順応にも時間はかからなかった。ここまで実戦全11試合に出場し、1得点1アシストを記録。鹿児島キャンプ中の今季初の静岡ダービーでも鋭いクロスから決勝点となるオウンゴールを誘発した。アフシン・ゴトビ監督(48)も「非常に賢く、試合を読める選手」と高く評価。ルーキーとは思えない、安定したプレーで右SB、左SBといった過去未経験の位置での起用に応えてきた。

 藤枝東3年の時、全国選手権で準優勝した。しかし、決勝で大敗を喫した流通経大柏のエースとして君臨していたFW大前元紀(22)との差を痛感した。「プロなんて考えられなかった。将来のことを考えて慶大に進んだ」。1度は諦めた夢も、全日本大学選抜で「背番号10」を背負うなどの活躍で方向転換。開幕スタメンも視野にとらえた。河井は「地元なので期待してくれる人も多い。1年目だからという気持ちはないし、信頼を勝ち取るためにも結果を残していきたい」。幼少期からの夢だった、Jのピッチに立つ。プライドをへし折った大前と同じユニホームで。【前田和哉】