<ヤマザキナビスコカップ見どころ>

 ヤマザキナビスコカップの20年の歴史の中で、多くの若手選手が成長と進化を遂げてきた。リーグ戦と並行して行われるため、新たな選手がチャンスをつかむ機会も多い。カップ戦で要求される“1戦1戦の集中力”と”波に乗る力”を持った多くの選手が、この大会で”覚醒”した。

 浦和のFW原口元気(20)は、昨年のヤマザキナビスコカップでニューヒーロー賞を獲得した。ドリブルの突破力を認められ、ロンドン五輪を目指すU-23(23歳以下)日本代表だけでなく、A代表にも初招集。リーグ戦でもチーム最多9得点を挙げ、まさに大車輪の活躍だった。ヤマザキナビスコカップでは予選3試合で2得点。準々決勝と準決勝はA代表の合宿期間と重なり、出場できなかった。そのため受賞後には「チームメートが決勝まできてくれなかったら、この賞はなかった。感謝したい」と話し、獲得したトロフィーは自室ではなく、さいたま市内のクラブハウスへ。サポーターも目にするケース内に飾っていた。決勝では同世代の鹿島FW大迫に得点され「今日は鹿島の方が強かった。それだけ。1年後はまったく分からない」とリベンジを誓っていた。原口は、2月22日に行われたロンドン五輪最終予選のマレーシア戦で、5カ月ぶりに代表復帰。攻撃的左MFとして先発し、ゴールを決めた。今年はリーグ戦、五輪代表でもこれまで以上に活躍が期待されている。成長し続ける逸材に、要注目だ。