日本代表候補DF酒井宏樹(22=柏)が、正式オファーが届いたブンデスリーガの古豪ハノーバーと、移籍に向けた本格交渉を始めることが25日、分かった。同リーグ2連覇を果たしたドルトムントからもオファーがあったが、返答期限が短いため交渉が進まず、近日中にも断りを入れる見通しだ。候補合宿最終日のこの日、千葉県内で行われた明大との練習試合には後半から出場し、1アシスト。5-1の勝利に貢献した。

 世界から注目される大型サイドバックのDF酒井が、ブンデスリーガのハノーバーと移籍に向けた本格交渉を始める。柏の小見統括ダイレクターが「ハノーバーは積極的だし、これから本格的な話になると思う」と明かした。順調に話し合いが進んだ場合、6月中にも合意に達する見込み。契約には7~8月に開催されるロンドン五輪への出場を優先させる条項が盛り込まれる予定になっている。そのため移籍が実現した場合は、五輪終了後にチームへ合流することになる。

 酒井に興味を持つクラブは、多数ある。日本代表MF香川が所属し、同リーグ2連覇を達成したドルトムントからも正式オファーが届いた。しかし小見統括ダイレクターは「ドルトムントは期限を決めていて(交渉が)難しく、近日中に断ることになると思う」と話した。他にも、イタリアやポルトガルなど強豪国のクラブからも打診があったが、本人の意向もあり、日本人選手が多く活躍するドイツに絞った。

 酒井は「移籍に関しては、自分の口からはあまりコメントできない」としながら、「海外にはもちろん興味はある。自分が考えるいいタイミングで移籍したい。自分がどういかされるクラブなのかが重要だと思う」と考えを明かした。

 この日行われた明大との練習試合でも、持ち味を十分に発揮した。後半から3-4-3の中盤、右サイドハーフとして出場。高い位置を取り、積極的に攻撃参加した。ボールを受けるとサイドを何度も駆け上がり、クロスを供給した。

 同23分には、右サイドのゴールライン際から中央へ低いクロスを入れ、FW原口のゴールをアシスト。合宿初日にはザッケローニ監督からの直接指導を約20分間受けるなど、期待の高さを伺わせる。それでも新しいポジションに「慣れていかないといけない。細かいところは、実戦をこなして突き詰めていかないと。もっと効率よく動いて、自分のポジションにしていきたい」と目標を掲げた。

 ロンドン五輪出場に加え、A代表に定着すれば6月から始まるW杯アジア最終予選にも招集の可能性がある。体力的には厳しくなるが、「全然大丈夫ですよ。両方できるように、頑張りたい」と意気込んでいた。五輪については「チームでも個人でも、どこまでできるのか楽しみ」と話す強心臓が、世界を相手に勝負を挑む。