<J1:仙台0-1清水>◇第10節◇6日◇ユアスタ

 清水の両翼が、開幕から9戦無敗で首位を走る仙台に初めて土を付けた。試合開始14分に悪天候により試合は一時中断。しかし、再開までの43分間で清水FW大前元紀(22)とFW高木俊幸(20)は、ゴールへ同じイメージを描いていた。大前は「俊は常に見てくれている」。高木も「いつも狙っている」。

 0-0の前半40分。左サイドを突破した高木のクロスがゴール前へきれいな弧を描く。待ってました!

 と言わんばかりに右サイドから走り込んだ大前が、頭でゴールネットを揺らした。試合後2人は「完ぺきだった」と声を合わせた。後半23分の退場者で劣勢の中、勝利に導く一撃に声は弾んだ。

 今季、高木は左ウイングとしてチーム最多の5得点。右ウイングの大前も4得点、10節までのチームの総得点14点のうち9得点をたたき出している。しかも、この日と同様に高木から大前という「ホットライン」で既に3得点。チームに欠かせないコンビになろうとしている。高木は「今は1つの武器になっていると思う」と、胸を張る。

 五輪への思いも同じだ。高木は「出たい気持ちは当然ある」。今季DeNAのコーチに就任した父豊氏が04年アテネ五輪のコーチとして立った大舞台にあこがれる。大前も先月8日に初招集され、出場への思いは強まった。ただ、2人の招集は過去にそれぞれ1度だけ。大前は「チームで結果を出し続ければチャンスはある。これを続けなければいけない」。高木も「やることはやっている。ただ、続けていくことが大事」と話す。

 チームはこの日、2人の活躍で首位仙台との接戦を制した。ゴールデンウイークの3連戦を3戦連続完封で3連勝、最高の形で締めくくった。順位も2位に浮上し、仙台との勝ち点3も2に迫った。【前田和哉】