<ナビスコ杯:清水3-0東京>◇準決勝◇13日◇アウスタ
清水がホーム・アウスタで文句のつけようのない逆転進出だ。FW大前元紀(22)がプロ初のハットトリックを達成し、4年ぶり決勝を決めた。前半26分に右クロスを頭で合わせて先制点を奪うと、後半18分には個人技から2点目、同ロスタイムにPKを決めた。アウェーでの敗戦により、2-1の勝利でも延長に突入する状況下で守備陣も完封で応えた。16年ぶりの優勝を懸けた鹿島との決勝は、11月3日に東京・国立競技場で行われる。
♪国立へ行こ~う、国立へ行こ~う、国立へ行こ~う、みんなで行こう!!
試合後のスタジアムに鳴り響くオレンジサポーターの歓喜の大合唱。その真ん中にFW大前がいた。ヒーローインタビューで「勝つしかないと思ってやりました。ハットトリックはみんなのおかげです。決勝も勝って絶対優勝しましょう!」と叫ぶと、オレンジのスタンドが帯状に揺れた。4年ぶりの決勝進出を喜ぶ風が吹いた。
エースだった。前半26分、FKのこぼれ球を拾ったFW高木のクロスを頭で合わせ、ゴールネットを揺らした。前戦に挙げたアウェーゴールにより、計算上はそのまま「1-0」でも決勝進出が転がり込む。それでも「2点目が重要だった」。ホームで1点を失えば一気に絶体絶命へと暗転する状況で、追加点を狙い、走り続けた。攻めることが最大の防御だった。
迎えた後半18分、強い決意が形になった。FW高木のスルーパスに抜け出して、相手DFを華麗なドリブルで抜き去り、右足を振り抜いた。2点目のゴールは左サイドネットが揺れた。同ロスタイムには、途中出場のFW鍋田が獲得したPKをゴール右へ冷静に決めてみせた。守備陣も公式戦3連続完封で、東京を倒した。
2日、ドイツ語で「ゴール」という意味から命名した愛息子の十彩(とおあ)くんが、1歳の誕生日を迎えた。「ちょっと遅くなっちゃったけど、良い誕生日プレゼントになったかな」とこの日、スタンドに家族と一緒に応援に駆けつけた十彩くんにプロ5年目で初めて記録したハットトリックを贈った。
プロ1年目の4年前、決勝で大分に0-2で敗れてタイトルを逃した。当時、ベンチから戦況を見詰めるだけだったが「悔しさは今でも残ってる。だからこそ、優勝しか考えていない」。時は流れ、チームの中心へと成長を遂げた。16年ぶりの栄冠まであと1勝。オレンジの風は元紀とともに、国立も吹き抜ける。【前田和哉】



