清水に、再び頼もしい男が戻ってきた。11月3日に迎える鹿島とのナビスコ杯決勝に向け、来季入団が内定している特別指定選手の筑波大FW瀬沼優司(4年)が30日、合流した。前哨戦となった27日のリーグ戦後に1度は同大に戻ったが“追加招集”された。瀬沼は「とにかく結果を出すだけです」と、期待に応えるために気合の入った表情で2部練習に励んだ。

 清水にとって16年ぶりの頂点が懸かった大一番。まだ入団前とはいえ、FW瀬沼は呼ばれた意味をしっかりと受け止めていた。日が陰り始めた午後5時。2部練習を終えると「準優勝では何も残らない。ここで勝つのと負けるのでは大きな差がある。呼んでもらったからにはとにかく結果を残すことだけを考えていきたい」と、自分に言い聞かせるように話した。

 前哨戦となった27日のリーグ戦で、瀬沼は1点リードの後半31分から出場。前線からの献身的な守備だけでなく、同41分にはMF石毛秀樹(18)のスルーパスに抜け出し後半チーム唯一のシュートを放った。それでも瀬沼は「あそこで決めていれば試合展開は楽になった。確実に決めなきゃいけない場面だった」と反省。この日、午前中に行われた7対7のミニゲームではFW白崎凌兵(19)のクロスに飛び込むなど、いつも以上にゴールへの執着心を見せた。

 アフシン・ゴトビ監督(48)は「精神的に素晴らしいものを持っていて、常に相手にとって危険な選手になれる。前回の試合も良い仕事をしていた。必要だから彼はここに来ている」と、瀬沼を絶賛。これまでは所属する筑波大の公式戦を優先させてきた。決勝当日も関東1部リーグ早大戦と重なっているが、今回ばかりは同大との話し合いの上で呼び戻した。

 出番は途中出場が有力だが、ナビスコ杯名古屋戦とリーグ戦仙台戦ではいずれも途中出場からゴールを記録。2試合合計の出場時間は、わずか31分にもかかわらず2得点とその決定力は実証済みだ。瀬沼は「緊張することもない。きれいでも、泥臭くてもいい。どんな形でもいいから得点を取ること。それがチームにできること。そのためにしっかり準備していきます」と、力を込めた。【前田和哉】