鹿島のジョルジーニョ監督(48)が29日、突然退団した。契約交渉の席で退任を申し出たため、今季限りで退団することが決まった。家族と過ごす時間を増やすことなどが理由で、天皇杯終了まで同監督の体制で臨む。後任監督にはロンドン五輪で4強入りを果たした関塚隆氏(52)が最有力。鹿島でコーチを務め代行監督の経験もある縁のある人材。05年まで6年間指揮を執ったトニーニョ・セレーゾ氏(57)も候補に浮上した。

 鹿島の次期監督に、関塚氏の就任が最有力となった。ジョルジーニョ監督が突然退任を申し出たため、鹿島は来季の監督候補を急きょリストアップ。鈴木満常務取締役強化部長は「鹿島の伝統、やり方を受け継いでくれる人じゃないとダメ。縁もゆかりもない人はないと思う。日本人だったら、そこ(関塚氏)しかない。ただ関塚の状況もあるし、調査しないと。まずは、ブラジル人か日本人か判断しないといけない」と明かし、05年まで指揮を執ったセレーゾ氏も候補に挙がった。

 鹿島は今後、関塚氏とセレーゾ氏の2人の情報収集を行い、オファーをすることになる。同常務は「遅くとも天皇杯がある(12月)15日までには決めて、交渉するところまでいきたい」と、2週間以内に一本化する考えだ。だが、監督就任の交渉はスムーズに進む可能性が高い。

 関塚氏は今夏のロンドン五輪で監督を務め、44年ぶりの4強に導いた後、フリーの状況が続いている。J2千葉から監督就任のオファーを受けているが、受諾していない。もっとも鹿島とは切っても切れない関係だ。鹿島の初代監督である故宮本さんを師と仰ぎ、Jリーグ発足時からコーチに就任。1度は清水に移るも再び戻って98年には6試合、99年には1試合だけ代行監督も務めたことがある。また、今年5月には茨城・鹿嶋市内で十一回忌の墓参りをしている。就任となれば、恩師以来19年ぶり、2人目の日本人監督。正式オファーに前向きな姿勢を示すことになりそうだ。

 一方のセレーゾ氏は、昨オフにオリベイラ監督が退任する際にも候補に挙がっていた。今季はビトーリアの監督に就任したものの4月に辞めておりフリーの状態。いずれにしても、今季残留争いを強いられた名門の復活を託されることになる。【栗田成芳】