奇跡を、信じよう-。G大阪がJ1残留をかけ、今日1日の最終節磐田戦(アウェー)に臨む。11月30日は大阪・万博練習場で非公開調整をこなし、敵地へ移動した。J2降格圏16位で、自力での残留は既に消滅。勝ち点を積み重ねた上で、他会場の結果を待つしかない。日本代表DF今野泰幸(29)は、円陣で「自分たちを信じ、仲間を信じよう!」と魂の訴え。93年のJリーグ元年から1度も下部リーグ降格を経験したことのない関西の名門が、運命の日を迎える。

 胸の奥にしまい続けてきた思いを、言葉にした。練習前の円陣の最後、今野が語り出すと、みんなが真剣に耳を傾けた。大型移籍で今季から加入しながら、期待された守備再建ができず、低迷の要因を作った。1人で責任を背負い続けてきた1年。監督、選手、スタッフ…。思いを1つにするため紡いだ言葉は、心に響いた。

 「今、僕たちができることを全力でやろう。自分たちの力を信じて!

 仲間を信じて!

 最高の準備をして、やるしかない」

 たとえ力を出し切れたとしても、残留できる保証はない。自力がなく、引き分け以上の結果を挙げた上に、残留を争うライバルの結果を待たなければいけない。守備に難のある今季は、3得点以上を挙げないと白星に届かないというデータもある。勝っても、ライバルも勝てば降格。だから、祈るしかない。今野にとって、神にもすがる思いで、はき出した言葉でもあった。

 心は1つになった。07年に加入し、翌08年のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)制覇、天皇杯2連覇も経験したDF中沢も、悲壮な決意を口にした。

 「クラブの歴史、重みを背負って、やらないと。過去にたくさんの人がガンバのために汗を流し、このクラブを築いてきた。僕はそういう人たちの思いを胸に抱いて、ピッチに立ちます。重圧に押しつぶされてはいけない。こういう状況になったのは、自分たちの責任ですから」

 93年のJ創設元年から、浮き沈みを経験しながらも、チームは1度もJ2に降格したことはない。関西の名門が、負の歴史を刻むわけにはいかない。松波監督は「勝てる自信と、選手がやってくれる信頼がある。(降格の)恐怖感より、ガンバのスタイルをいかに出せるかを考えたい」。MF遠藤も「必ず勝ちたい。いつも通り攻撃的で、強い気持ちで臨む」と言った。自分を信じ、仲間を信じ、勝てると信じる!

 その先に、奇跡の光が見えるはずだ。【益子浩一】

 ◆J1残留どうなる

 残留を争う4チーム中、自力で残留を決められるのはC大阪と神戸。C大阪は引き分け以上で、神戸は勝てば他のチームの結果にかかわらず残留が決定する。G大阪と新潟は、勝ちが最低条件。G大阪は、勝ったとしてもC大阪が負けるか、神戸の引き分け以下が条件。引き分けでもかすかに可能性は残るが、状況的にかなり厳しい。新潟も勝った上で、G大阪と神戸が勝ちを逃すことが条件となる。いずれにせよ、他会場の結果次第ということになる。