<J1:磐田2-1G大阪>◇第34節◇1日◇ヤマハ

 磐田がG大阪を下し、9試合ぶりに勝ち点3を獲得した。前半5分、FW前田遼一(31)が相手のクリアボールを右足で押し込んで先制。エースの11戦ぶりゴールで先手を取ると、同点で迎えた後半40分にMF小林裕紀(24)が豪快な右足ミドルで決勝点を奪った。リーグ終盤戦で失速していたジュビロがホーム最終戦で勝利し、15日から再開する天皇杯に向けて弾みをつけた。

 ジュビロの攻撃的サッカーが戻った。前半から高い位置でのボール奪取を目指し、プレスをかける。相手のミスを誘い、奪った瞬間にスイッチを入れた。前半5分、MF山田大記(23)がこぼれ球を拾うと、そのまま中央にクロス。相手DFのクリアミスをFW前田が右足で押し込みネットを揺らした。欲しかった先制点を奪うと、その後も主導権を握った。

 後半8分に同点弾を献上したが、終了間際の40分にMF小林裕が右サイドの角度のない位置からミドルを突き刺して勝ち越しに成功。最後はG大阪の反撃に耐えて勝ち点3をもぎ取った。9戦ぶりの勝利にエース前田は「やっぱりうれしいですね」。殊勲の決勝点を挙げた小林裕も「苦しんだ分、喜びは大きい」と声を弾ませた。

 今季は9月まで優勝を狙える位置にいた。しかし、ホームで新潟に引き分けて以降は泥沼の8戦未勝利。前節大宮戦の直前まで残留が決まっていなかった。それでも、スタイルだけは崩さなかった。今週は1月の始動日から続けてきた「中央からの崩し」を徹底して練習。原点に戻った。この日も相手のハイプレスを細かいパス回しでかわし、リスクを冒してパスサッカーにこだわった。

 リーグ戦は結局12位で終わったが、どんな状況でも自分たちのスタイルを変えなかった。開幕からのスタートダッシュと終盤での失速。ゲームキャプテンのMF山田は「優勝争いをして残留争いにも絡んだ。上と下を経験できた。今年は学ぶことが多いシーズンだった」と手応えはつかんだ。

 15日からは天皇杯が再開する。優勝すれば、今季の目標でもあるアジア・チャンピオンズリーグの出場権が与えられる。森下仁志監督(40)は「スタイルと結果を追い求めて前進していきたい」と先を見据えた。自信を取り戻したジュビロは元日の国立を目指して再び動きだす。【神谷亮磨】