長友×シャビアロンソ×鎌田=蜂須賀!?

 来季から仙台に加入する仙台大DF蜂須賀孝治(22)が12日、宮城県内の同大で入団内定会見を行った。本職の右サイドバック(SB)に加え、ボランチ、センターバック(CB)を器用にこなすユーティリティープレーヤーは「全部のポジションでスペシャリストになりたい」と高らかに宣言。兄の夢も背負う苦労人が、6月から特別指定を受けていた仙台で頂点を目指す。

 緊張からか蜂須賀の声は少し震えていたが、内容はビッグだった。「蜂須賀という選手は1人ですが、ポジションごとにいろんな特徴が出せる、変幻自在の選手になりたい」。SBなら日本代表DF長友(インテル)、ボランチならスペイン代表MFシャビアロンソ(Rマドリード)、CBなら仙台守備陣の要であるDF鎌田…。22歳の口から、そうそうたる名前が出た。

 入団決定後、兄正輝さん(25)からメールが届いた。「お前が就職するところは、(採用が)100万人に1人くらいの競争率なんだぞ」。兄は中学時代に仙台MF富田と一緒のチームでもプレーしていた有望選手だったが、栃木高3年時の高校総体予選を目前に膝と足首を負傷。本格的な競技続行を断念した。今でも実家に帰ればボールを蹴り合う、師匠のような存在だけに「兄の分まで頑張りたい」と誓う。

 自身は慶大進学がかなわず、当時の監督の勧めで仙台大を選んだ過去がある。「大学受験は失敗したけど、仙台に来たからベガルタに入れたのかもしれない。大事なのはどこに行くかじゃなく、そこで何ができるか。ベガルタでも、そう思っています」。反骨心むき出しのメンタリティーも、J2から地道にはい上がってきた仙台向きだ。

 19日に全日本大学サッカーの初陣、阪南大戦が控える。「総理大臣杯の王者相手だし、いきなり決勝ができるようなもの。勝てば優勝の可能性も出てくる」。もちろん、その先に思い描くのはプロでの飛躍。来季、チーム唯一となるルーキーは「(大学の先輩でもある)奥埜さんと一緒に若手を盛り上げて、Jリーグを制覇したい」と頼もしく夢を広げた。【亀山泰宏】

 ◆蜂須賀孝治(はちすか・こうじ)1990年(平2)7月20日、栃木市生まれ。大平南小2年の時に大平南少年サッカー部でFWとしてサッカーを始める。大平南中ではヴェルディSS小山に所属。桐生一高では2年時に高校総体出場。仙台大では11年から2年連続で北海道・東北学生選抜。12年のデンソーチャレンジ杯ではベストイレブンに選ばれた。現在は左サイドバックにも挑戦中。家族は両親、兄。180センチ、77キロ。血液型B。