<天皇杯:G大阪2-1C大阪>◇23日◇準々決勝◇長居

 来季J2に降格するG大阪が、2年ぶりに4強に進出した。延長戦にまでもつれた大阪ダービーを2-1で競り勝った。途中出場のMF家長昭博(26)が頭で決勝弾を決め、日本代表MF遠藤保仁(32)は1ゴール1アシストで全得点を演出。J2からのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得へ、あと2勝に迫った。柏は3-2で大宮に逆転勝ちし、4年ぶりの4強進出。29日の準決勝はG大阪-鹿島、横浜-柏となった。

 屈辱をバネにはい上がってきたG大阪の選手が、冬空の下で跳びはねた。苦しみ抜いた今季、やっとチームが1つになった。前半19分の先制弾は、遠藤が泥臭く頭で押し込んだ。一時は同点に追いつかれ、延長戦に突入。試合開始から112分、PK戦も頭をよぎった時だった。遠藤のFKを、家長が最高のタイミングで頭で合わせる。執念と、仲間の魂が乗り移った決勝弾。年の瀬に「強いガンバ」が、よみがえった。

 あと2勝で、J2の来季にACL出場という希望の道が開く。普段からポーカーフェースを装う家長も、遠藤も、うれしそうに笑った。

 家長

 ヤットさん(遠藤)が、いつもいいボールを蹴ってくれる。中(ゴール前)で待っている人は、合わせるだけでいいですから。狙い通り、決めることができて良かった。あと2つなんで、優勝したい。

 遠藤

 いくつもチャンスはありましたし、自分たちのペースでやれた。今日みたいな試合内容で次もやれれば、いい結果が出ると思う。攻撃も自由にやれましたし、うまくいった。

 モヤモヤを振り払うために、勝ち続けるしかない。08年にACLを制し、09年度には天皇杯を2連覇した。だが当時から在籍するDF中沢は、こう言う。

 「『このままでシーズンを終われるか!』という思いが、だんだん強くなってきた。(タイトルに)懸ける思いは、あの時よりもはるかにある。全ては勝つためにやっていること。松波さんを中心に、この大会を取るんだという雰囲気が、すごく芽生えてきた」

 ACL出場権を獲得すれば、Jクラブ最多の6大会連続になる。J2からの挑戦は、過密日程と長距離移動とで、険しい道のりになるだろう。それでも来季、長谷川健太新監督の下で再出発するG大阪にとって、目指す夢は、大きい方がいい。今季限りで退任する松波監督も「タイトルを取るんだという強い気持ちを、全員で出すことができた。チーム一丸の勝利。よく走ってくれた」。初春の頂上へ-。失いかけた誇りを取り戻す機会は、まだ残されている。【益子浩一】

 ◆J2勢のACL出場

 過去は06年の東京Vが出場し1次リーグ敗退。降格1年目だったJ2では7位に終わり、即復帰を逃している。ACL出場権は、09年から前年度J1の1~3位+天皇杯優勝(J1の3位以内と重複の場合J1の4位が出場)の4枠。08年以前は基本2枠で、前年度J1優勝と天皇杯は前々年度の優勝チームだった。東京Vは04年度天皇杯優勝によるACL出場だった。