長身助っ人が札幌DF陣に高さを加える。札幌が21日、サッポロ・イーワンスタジアムで始動した。練習後には9人の新戦力会見を、初めて一般公開で行った。DFパウロン(23)は約100人のサポーターの前で登録名の由来が「大きく強いパウロ」に由来すると明かした。J1ワースト88失点と崩れた守備を、DF陣最長身192センチの高さと強靱(きょうじん)な身体能力で、一変させる。

 助っ人DFが、いきなり軽快な動きで財前監督にアピールした。この日、練習最後に行った5対5のミニゲームでは、相手2人をターン一発でかわし状態の良さを披露。打点の高いヘッドでハイボールをはね返すなど、積極的なプレーに財前恵一監督(44)は「まだ簡単な動きだけだから判断は難しいが、高さはあるし、ボール扱いも問題ないのかな」と及第点を与えた。

 プレーだけじゃない。会見では自らの名前の由来にも言及。「ブラジルでは大きくて、パワーがある人には名前の最後に『ン』を加えるのさ。オレもヘディングの強さと、マークの強さで札幌をJ1に昇格させたい」と意気込んだ。昨年7月に恥骨を痛め約5カ月、実戦から遠ざかっていたが問題ない。J2開幕の3月3日に合わせ100%に仕上げていく。チームではDF陣唯一の190センチ台。セットプレーに弱く、昨季J1最多88失点と崩壊したDF陣立て直しのキーマンだ。

 日本では実績のないブラジル人DFだが、評論家として多くの外国人選手を見てきた野々村芳和顧問(40)も初日を見て「いい動きをしていたね」と評価した。来日翌日の17日には、スタッフに札幌市内の交通機関について熱心に聞いてまわるなど勤勉で、日本サッカーや文化に適応しようという意欲も高い。OBの大森健作氏(37=日刊スポーツ評論家)は「バネもあり、足元も良さそう。頭も良さそうだし、あとは組織にうまく入れれば」と分析した。

 獲得に動いた鈴木智樹強化担当(27)は「現地で生で見て、この高さ、強さはJリーグでも生きると判断した」と説明した。風貌や、鋼のような肉体ともに元カメルーン代表FWエムボマ似の新助っ人。徐々に財前サッカーに順応し、札幌新4バックの要となる。【永野高輔】

 ◆パウロン(本名ルイス・パウロ・ダ・シルバ)1989年12月4日、ブラジル生まれ。ブラジルのローマ・アプカラーナでプロ生活をスタート。エンジェネイロ・ベウトラン、FCカスカヴェウなどを経て、昨季はローマ・アプカラーナに復帰。今季から札幌に期限付き移籍。利き足は右。192センチ、85キロ。