<J1:鳥栖1-1鹿島>◇第1節◇2日◇ベアスタ

 鹿島FW大迫勇也(22)が、今季のJリーグ第1号を決めた。鳥栖戦の前半32分、MF野沢拓也(31)の右CKをファーサイドにつめると、FWダビ(28)が頭ですらしたボールを右足でけり込んだ。後半は相手の猛攻を受けて引き分けに持ち込まれたが、14年W杯ブラジル大会を目指すストライカーが、開幕戦から結果を出した。

 常勝軍団の若きエースが、記念すべき“ファーストゴール”をたたき込んだ。前半32分、野沢の右CKの直前にファーサイドへ。ややカーブがかかったボールをダビが頭で後方へ流すと、大迫の足元へ絶好球が落ちてきた。間髪入れずに右足を振り抜くと赤星の股をすり抜け、ネットを揺らした。「最初から決められてよかった。何となく(ファーに)来そうだなって思ったんですよね」と抜群の嗅覚で先制点を生みだした。

 昨年の後半戦から好調を維持している。ロンドン五輪代表メンバーから外れて以降、公式戦では10得点。夏までの7得点を上回った。落選のショックは言葉を失うほど大きかったが、ジョルジーニョ前監督がFWの使命を思い出させてくれた。「もっとゴールを狙っていけばいいんだ」。ここで終わりじゃない。相手の裏をつく得意の形を前面に出して得点を量産した。「感覚で動いて取れるようにもなった」。年初から打ち出した「取れるものは全部取りたい」という全タイトル獲得宣言は、決してビッグマウスではなかった。

 ただ後半はじれったい時間が流れた。圧倒的な運動量で鳥栖の反撃を受け、鹿島の最終ラインがジリジリと下げられた。「前は2人だけになって、後ろからのパスもロングパスばかりでつながらなかった」。守備陣がクリアしたボールをダビとの連係で抜け出そうとするが、後方からの援護がない。最後まで改善できなかった。「相手のセカンドボールを拾う意識がすごかった。でも(経験できて)逆によかった。次にまたゴールも決められればいい」と苦戦を前向きにとらえた。

 宣言通りの開幕弾は決め、9日のホーム仙台戦での連発にも意欲を示した。全ては鹿島の優勝とW杯につながる1歩。「勝てなかったけど得点はプラスに考えたい」。有言実行の1年が幕を開けた。【湯浅知彦】