斬新な組み合わせが、予想を超えた化学反応を見せるかもしれない。仙台が7日、明日9日のアウェー鹿島戦に向けた紅白戦で、MF松下年宏(29)とDF鎌田次郎(27)のダブルボランチをテストした。故障者続出の事態を受けた手倉森誠監督(45)は、これまでにないトライを示唆。逆境こそ好機と捉え、チームのさらなる可能性を引き出しにかかる。

 スーパーポジティブ指揮官が、ピンチをチャンスに変える。角田が左足首捻挫、富田は右足第5趾末節骨不全骨折で離脱が決まり、チームの肝であるダブルボランチが一時解体を余儀なくされた仙台。代役に腰痛から復帰予定の鎌田を指名した手倉森監督は「2人が欠けたことは、新しいことにトライするチャンスでもある。はまりそうな気がする」と不敵に笑う。

 今やJ屈指のセンターバックとなった鎌田にとって、かつての本職でもあるボランチ。昨年3月のC大阪戦で「5分くらい」入ったことはあるが、本格的な起用は09年まで在籍した柏時代以来。「競った後のセカンドボールとコンパクトにやることが大事」と、紅白戦でも勘を取り戻すべく意欲的にプレーした。

 もちろん初コンビとなる松下は「守備のところでコーチングしてくれるし、連係は悪くない」と手応えをにじませる。もともと定位置奪取を掲げるだけに、不動だったレギュラーがいない今が正念場でもある。「帰ってきた時に、2人のポジションがないくらい活躍するのが(本当の意味での)チームワーク」と力強い。

 ボランチ鎌田なら基本は4-4-2で推移しつつ、状況に応じてアンカーへ下がって4-3-3気味になることも可能。昨季、角田と富田がそろって不在だった試合は2分け1敗だった。手倉森監督は「それではいけない。いなくても勝てるチームだということを表現したい」と、不吉なデータにむしろ燃えている。【亀山泰宏】