浦和のMF原口元気(21)が、20日にNACK5スタジアムで行われる「さいたまダービー」でダービー男を襲名する。Jリーグ、ナビスコ杯で通算14チームから得点を奪っているが、大宮相手には最多の4ゴールを決めている。ダービーマッチは11年アウェー、昨年ホームで2年連続得点。両チームともに今季は無敗に加え、浦和が2位で大宮は3位。今季を占う一戦で、原口の爆発は不可欠だ。

 オフ明けで軽めの練習を終えた原口は沸き上がる気持ちを淡々と話した。「意識はしますね。負けられない。アルディージャには負けちゃいけないという思いがある」。浦和ジュニアユースからの生え抜き。一番負けられない相手が大宮だということは、自然と刷り込まれた。週末に向けてオレンジ色の物は封印かと問われれば「オレンジ色の物は持っていない」。意識的に避けはしないが、自然と手は遠のくのか。

 リーグ戦では昨年9月の24節、11年の14節と2年連続ゴール中だ。特に11年のゴールは、ドリブルでDFの間に切れ込み、倒れて頬をピッチに打ちつけながらもねじ込んだもの。ほかにもナビスコ杯で2点を決めており「プロになってから一番得点を決めているチーム。今年もいきたい」と3年連続ゴールを見据える。

 ダービーでの勝利は10年25節までさかのぼる。最近2シーズンは勝てていないが、原口は近年の成績よりも上位対決に意識を向ける。「大宮は見ててもいいプレーをしている。守備がいいしカウンターの精度も高い」。さいたまダービーといえば、上位の浦和対下位の大宮という構図。ただ今年は様相が異なる。2位の浦和と3位の大宮。両チームの順位合計が1けたで行われるのは初めてだ。まして相手はJリーグタイ記録の17戦連続無敗を継続中で、関係者も「ダービーで新記録を達成する」と士気を一層高めている。勝ち点差はわずかに2。浦和の負けは順位逆転を意味する。

 シーズン序盤の大一番のチケットは、わずか1時間半で完売。アウェーの地を静寂に包むため、大宮キラー原口の奮闘は欠かせない。【高橋悟史】

 ◆初の合計1けた

 順位が1けた同士で行われるさいたまダービーは、今回が3度目。過去の2度は、06年9月10日(2-0で浦和勝利)、08年4月20日(0-0で引き分け)で、ともに浦和が3位、大宮が8位だった。今回は浦和が2位で大宮が3位。両チームの順位合計が1けたとなるのは史上初。