<J1:大宮2-1広島>◇第10節◇6日◇NACK
首位の大宮が、昨季王者の広島に競り勝ち、昨季から続くJ1の連続不敗記録を21試合に伸ばした。FW富山貴光(22)が後半39分、広島GK増田卓也(23)と激しく交錯しながらも、決死の勝ち越しゴール。救急車がピッチに入る“激戦”を乗り越え、7連勝で勝ち点を26に伸ばし、敗れた2位横浜との勝ち点差を6に広げた。
21戦連続無敗に導いたのは、富山の執念だった。後半39分。広島DF水本の頭でのバックパスを狙った。ゴール方向にふわりと浮いたボールめがけて走り込み、頭からダイブ。広島GK増田のセーブよりも一瞬早く、ヘディングした。空中で激しく頭をぶつける両者をよそに、ボールは無人のゴールへと飛び込んだ。
歓喜に沸く大宮サポーターの目の前で、富山と増田はピッチ上にあおむけに倒れたまま、動かない。祝福に駆け寄ったMF渡辺とFWノバコビッチからは一瞬にして笑顔が消え、主審よりも早くドクターを要請した。富山は顎付近を裂傷し出血。意識も失った。GKは視界に入ったはずだが、ひるまなかった。担架でピッチから運ばれ、しばらくして意識は戻ったものの、救急車で川越市内の病院へと搬送された。
ノバコビッチが「ゴールの瞬間は力を出し切るし、その中でのアクシデント。大事に至っていないのは不幸中の幸い」と言えば、DF今井は「ゴールシーンは覚えていないらしい。勝ったのはいいけどトミの状態が心配」。午後8時前には脳振とう、顔面打撲、下顎部裂傷と診断された。CT検査の結果、頭部、顔面には異常がなく、下顎部の治療を受けて帰宅した。
大卒ルーキー富山は入団してすぐ、同じ栃木出身の黒崎久志氏(現大宮地域プロデュース部)から言われた。「将来は栃木出身としては俺以来となる代表になれよ」。思い切りの良さが持ち味で、自ら「裏に抜ける動きが良さ」と言う。ベルデニック監督も「運動量はあるし前線からの守備もしっかりとやる」。なりふり構わぬ姿勢が、今季3点目となる決勝点につながった。
広島には10年8月18日以来、2年以上勝利から遠ざかっていた。かつホームでは1分け3敗だった昨年覇者を下した。“決死の覚悟”でつかんだ勝ち点3。難関を乗り越え、大宮の勢いはさらに増しそうだ。【高橋悟史】
◆ピッチ内に救急車
05年9月17日のJ1第24節、横浜-東京戦(日産ス)。0-0の後半ロスタイムに、東京FWルーカスが、東京DFジャーンとぶつかって頭を強打して意識不明となった。試合は中断し、両チームのドクターが治療にあたった。ピッチ上で点滴も。激突から約15分後にピッチ内に救急車が入る異常事態。試合は同選手の搬送後にボールが蹴り出されて0-0のまま終了した。当時のJリーグ広報は「まだロスタイムは残っていたが、主審の最終的判断で試合を終了させた。(Jリーグで)試合中にピッチに救急車が入ったのは初めてと思われる」と話していた。



