<ナビスコ杯:仙台2-3川崎F>◇準々決勝◇30日◇ユアスタ

 ブラジルで世界の壁を痛感した男が、別次元の輝きを見せた。川崎Fの日本代表MF中村憲剛(32)が2ゴールを挙げ、敵地で仙台を撃破。コンフェデレーションズ杯を戦ったブラジルから帰国したばかりだが、疲れも見せずにチームを引っ張った。2試合合計5-3と打ち合いを制し、10年以来の4強進出を決めた。

 J屈指のゲームメーカー中村が、点取り屋に変身した。前半10分、ロングパスに抜け出して同点弾。「(大久保から)すんげえいいボールが来た」とアシストの元日本代表を持ち上げたが、後ろからのボールを難なく足元に収めたトラップは紛れもなく秀逸だった。41分にもカウンターから、最後は右隅に流し込んで2点目。GKが1歩も動けないほど、美しく逆を突いた。コンフェデ杯で不在だった23日の第1戦にチームは2-1で勝利していた。そこに大きなアウェーゴール2発を上積み。この時点で仙台に事実上の引導を渡した。

 3戦全敗と世界の厳しさを肌で感じたブラジルから帰国したのが6月25日。2日間のオフをはさみ、28日からクラブの練習に合流したが、早朝に目が覚めるなど時差ぼけに苦しんだ。そんな中でいきなりのスタメン。「頭から出るとは思ってなかった」と振り返った一方で「(風間)監督から期待されていると感じた。何かで貢献しなければと思ったし、ゴールが分かりやすかった」と意気に感じてもいた。

 カウンターの先頭を走るなどトップ下から何度も最前線に顔を出してゴールを脅かし、守備でも献身的に走り回って体を張った。「出し切りました」と後半ロスタイムにお役御免。風間監督が「彼の精神力、技術があれば十分やれると思っていた。すごく上手に動いてくれた」と絶賛すれば、FW小林も「やっぱり疲れを出さないし、しかもゴールを決めてくれた。見習っていきたい」と最敬礼する働きぶりだった。

 「このチームのサッカーが、もともと自分に合っている。やりやすく、何の違和感もなく、みんなのサポートもありうまくやれた」。4強進出の主役は、これくらいできて当然とばかりに貫禄を漂わせた。【亀山泰宏】