<J2:横浜FC3-1栃木>◇第22節◇3日◇ニッパ球

 キングが決めた!

 神様に近づいた!

 J2横浜FCのFW三浦知良(46、カズ)が栃木戦に先発し、いきなり前半開始16秒、左足ハーフボレーでゴールネットを豪快に揺らした。今季初シュートでの初ゴールは、46歳と4カ月7日で自身の持つJリーグ最年長得点記録を更新。40歳代では通算10得点目で、鹿島のジーコが持つ40代最多記録(14得点)に1歩近づいた。カズは後半16分までプレーし、試合も快勝した。

 カズが電光石火の一撃を見舞った。試合開始とともにゴール方向へ駆けだす。そのわずか16秒後だった。

 FW大久保の左クロスを、ペナルティーエリア内で右足でトラップ。少し体を浮かせて、1バウンドしたボールを左足で振り抜いた。GKがほとんど動けないほどの強力なシュートが決まると、カズは右手を突き上げ、2度ジャンプ。ベンチ前では選手やスタッフに容赦なく頭をたたかれた。

 カズ

 いいスピードでパスが来て、トラップして、あとはネイマールと同じです。何回も見てイメージは作ってたんで。位置は違うけど、最後左足を振り抜いたのはネイマールですね。

 早朝に起床してテレビ観戦したコンフェデ杯決勝。左足でスーパーゴールを決めた25歳年下のブラジル代表エースのごとく、豪快に決めた1発に満足げだ。

 代名詞の「カズダンス」の披露を忘れるほど、試合開始早々のゴールだった。「開始1分ですからね。ダンスというものをまったく考えてませんでした」。それでも長いJリーグ生活では自身2番目のスピードゴールで「開始13秒というのがあるんですよ。(会場は)臨海(千葉)でしたね」と自慢げに言った。昨年5月の鳥取戦以来の得点で、J最年長記録も更新。40歳になってからは10点目となり、「神様」ジーコの持つ最多記録にも近づいた。

 今季4度目の先発で、このゴールは記録上は初シュートだった。久々に得点しても、得点への意欲は下がらなかった。前半ロスタイムには、ペナルティーエリア内で左サイドの大久保からのクロスを受け、右足で直接シュート。惜しくもDFに阻まれた。「打たなきゃ入らないと言われてた。2、3点目を決めるチャンスもあった。もうちょっと余裕があればね。これで満足せず、自分に厳しくやっていきたい」と浮かれる様子はまったくない。

 ブラジルが優勝したコンフェデ杯。「1年後には、僕もあの場所に立ちたいと思えるような試合でした」。現役である以上、自身の原点ブラジルでのW杯出場の夢はあきらめていない。近日中にもMF長谷部ら日本代表選手の数人を招待し、恒例の食事会を開く。「ブラジルとか世界に追いつくには、大げさかもしれないけど、命をかけて取り組まないといけない」。そう後輩たちには伝えたい。

 世界的にも珍しいプロ生活28年目。46歳のスター、そしてサッカー界のスターは、まだまだピッチからパワーを振りまき続ける。【由本裕貴】

 ◆カズの最速ゴール記録

 開始16秒での得点は、自身2位のスピードゴール。最速はV川崎(現東京V)時代の96年11月6日市原(現千葉)戦で記録した13秒で、これはJリーグ歴代2位の記録にもなっている。J最速は、広島FW佐藤寿人が96年4月22日のC大阪戦で記録した8秒。

 ◆高齢選手

 元イングランド代表FWマシューズは、50歳までプレーし、同代表のGKシルトンは48歳で現役引退した。元ブラジル代表DFルイス・ペレイラは47歳で現役引退。元カメルーン代表FWミラは、W杯出場時に42歳と39日という最高齢出場記録を樹立し、45歳で引退した。トットナムの元米国代表GKフリーデルは42歳の今も現役でプレーしている。

 ◆Jリーグ年長得点記録5傑(所属は当時)<1>三浦知良(J2横浜FC)46歳4カ月7日=13年7月3日

 栃木戦<2>ジーコ(J鹿島)41歳3カ月12日=94年6月15日

 磐田戦<3>中山雅史(J1磐田)40歳5カ月21日=08年3月15日

 G大阪戦<4>サントス(J1清水)39歳7カ月13日=00年7月22日

 川崎F戦<5>森山泰行(J2岐阜)38歳11カ月28日=08年4月29日

 水戸戦