<J1:横浜2-1大宮>◇第16節◇13日◇日産ス

 「ハマのメッシ」が神業を見せた。横浜はFW斎藤学(23)が1ゴール1アシストと活躍し、首位大宮を撃破。斎藤は前半36分、得意のドリブルで「4人抜き」のスーパープレーを見せ、追加点を挙げた。15日に発表される東アジア杯(20日開幕、韓国)日本代表メンバーに入る可能性が高まり、来年のブラジルW杯に向けても大きなアピール材料となる武器を披露した。

 3万人近い観衆がくぎ付けとなった。斎藤が日本の未来を明るく照らす、強烈な輝きを放った。

 1-0の前半36分、斎藤はペナルティーエリア手前中央でMF富沢からパスを受けた。「うまく冷静に、敵も味方(の位置)も把握できていた」。身長169センチの小さな体に電気が走る。左方向へ、大宮のDF村上、高橋、菊地と次々と抜き去る。最後は、左後方から足を伸ばしてきたMF金沢もかわし、右足でゴールネットを揺らした。「やっと自分の得意なドリブルで点を取れた。ああいう形は自分の形。うまく(相手選手の)間に入れた」。リーグでは開幕戦以来の今季2点目を自画自賛した。

 この「4人抜き」に、会場からは大歓声の後、しばらくどよめきが起きるほどだった。前半22分には右クロスでFWマルキーニョスの先制点をアシストしたが、天性のドリブルで相手を置き去りにした姿こそ、斎藤らしい姿。アルゼンチン代表メッシ(バルセロナ)に例え、J2愛媛時代に「エヒメッシ」と呼ばれた斎藤の真骨頂だ。前節まで15試合で11失点と鉄壁の守備を誇っていた大宮の最終ラインを、あざ笑うかのように突破してみせた。

 これには、チームメートの日本代表DF栗原も「(後方から見て)メッシがいるんじゃないかと思った。あんなのうちがやられたら、一生言われる」とベタ褒め。DF中沢も「いいんじゃない、『マナブッシ』。こうすれば抜ける、というのがアイツの中で出てきたでしょ」と話した。

 昨夏ロンドン五輪に出場し、東アジア杯出場の可能性も高まっている。それでも、斎藤は「代表はそんなに意識してない。代表どうこうより、マリノスでどれだけやれるかが大事」とぶれない。その着実な歩みが、W杯という舞台で本家メッシとの対決を実現に近づける。【由本裕貴】