<J1:清水4-3鹿島>◇第23節◇28日◇アイスタ

 清水が、今季初となる逆転勝ちで鹿島を下し、3連敗を阻止した。前半6分までに2失点する苦しい展開からのスタートとなったが、途中出場のFW高木俊幸(22)が自身初のハットトリックを決めてチームを3戦ぶりの勝利に導いた。

 清水は、またしても簡単に先手を取られた。試合開始の笛からわずか11秒。左サイドを崩されると、最後は警戒していたはずの鹿島のエースFW大迫にネットを揺らされた。直後の同6分にはCKから追加点を献上。今季22節を終えて、逆転勝ちはまだ1度もない。ホームアイスタには暗雲が垂れこめた。

 ホームで今季初の3連敗だけは許されない-。イレブンの意地が、嫌な雰囲気を一蹴した。同31分、FKのこぼれ球を拾ったMF河井陽介(23)が中央へクロス。待ち構えたFWラドンチッチが、ワントラップから右足で決めて1点差に迫った。

 さらに、前半終了際の45分。DFからのロングボールをラドンチッチが頭で後方に流すと、途中出場のFW高木俊が反応。相手GKよりも一瞬先に頭で触り、貴重な同点弾。良い流れで前半を折り返した。

 後半は、その勢いで鹿島を完全にのみ込んだ。同4分、ラドンチッチのラストパスに走り込んだ高木俊が、この日2点目を冷静に決めて勝ち越した。同23分に一時は同点とされるも同43分にドラマが待っていた。途中出場のFW村田和哉(24)のクロスから3たび高木俊がネット揺らして3戦ぶりの勝利をつかんだ。

 今季初の3連敗を、今季初の逆転勝ちで阻止。出場機会に飢えていた高木俊もハットトリックで完全に目を覚まし「先制しても勝てなかったので、逆転勝ちはチームにとって大きい」と喜んだ。最高の形でつかんだ3戦ぶりの勝ち点3を本物の勢いに変えていく。【前田和哉】

 ▼ハットトリック

 清水FW高木俊幸(22)が、28日の鹿島戦で途中出場ながら3ゴールを決めて達成。J1で今季7回目、通算202回目。清水では10年8月1日の湘南戦でFWヨンセンが記録して以来9回目。途中出場での達成は、J1史上11人、12回目(播戸が2回記録)。