あの頑固な指揮官が謝った。完敗した8月31日の鹿島戦後にカッとなり、「この試合が自分にとっての最後」と電撃的に辞意を表明していた柏ネルシーニョ監督(63)が5日、練習前に選手に謝罪。またもや電撃的にチームに再合流した。

 家族や友人からの「なぜ今、辞めるのか」という温かい言葉が翻意を決意させた。4日の天皇杯2回戦・筑波大戦の開始前には、辞任撤回を求めるサポーターからの横断幕も掲げられた。ネルシーニョ監督は「一連の問題を引き起こして本当に申し訳ない。ただ、1度決めたことを撤回するのは簡単ではないが、過ちに気付きながら、意地を通すことの方が愚かだと思う」と翻意について説明した。

 監督とは別に会見を行った吉田達磨ダイレクター(39)によると、「もう1度やりたい」と連絡があったのは2日。すでに慰留は不可能と判断していたため、井原正巳ヘッドコーチ(45)を2試合代行に据え、自らを後任監督とする人事も考えていた。3日に再度、話し合いを持った際、「選手は気持ちを切り替えている。(反発等が起こるかもしれないが)それでもいいか?」という問いに「それでもいい。選手と話し合いながらやっていく」とネルシーニョ監督が答え、続投が決まったという。

 同監督は、もともと井原ヘッドが采配を振る予定だった7日のナビスコ杯準決勝第1戦・横浜戦(柏)からベンチに戻る。

 クラブ運営に携わる寺坂利之常務は「あれだけ自戒の念をもって戻ってきたので止める理由はない。珍しいクラブだと思われるかもしれないですけど」と話した。柏の決断が正しかったかどうかは、今後の戦いぶりにかかってくる。【千葉修宏】